WWDビューティ(以下、WWD):社長に就任して変わったことと、まず取り組みたいことは?
岡村享央「ミンクス ワールド」社長(以下、岡村):これまでも総代表という役職に就いていたので、社長に就任して仕事内容ががらりと変わったことはないですが、相談を受ける機会が格段に増えましたね。「ミンクス」のスタッフは現在約200人で、それくらいの規模になると、技術を含めた“ミンクスらしさ”が薄まっていく恐れがあります。それを防ぐためにも、コミュニケーションを密にし、教育をブラッシュアップさせ、高いレベルの技術を新人にまで伝えていきたい。実際、数年前からベーシック技術の質を上げる教育を徹底していて、今後も継続していくつもりです。
WWD:“ミンクスらしさ”を大切にしていくということですね。
岡村:そうですね。「ミンクス」の組織は、社長の下に全店舗を統括する「総代表」がいて、各店にはトップに「代表」、その下に店長と副店長がいます。幹部会議などを細かに行い、サロンとしての思いや戦略がすみずみまで行き渡るように努めています。また、“ミンクスらしさ”の追求こそが、今後のビジョンでもあるんです。よく「地方などに店舗を拡大していく予定はあるのか?」と聞かれるのですが、今のところその予定はありません。それよりも技術を含めたサービスのクオリティーを上げることに注力していて、現在の「ミンクス」よりもさらにラグジュアリーなサロンを展開する可能性は模索していますね。
岡村:もちろんです。「ミンクス」は、会長の高橋が17年以上も前から継続して開催している経営セミナー「高橋塾」を始め、「教育」に関しても高い評価をもらっています。スタッフが出張してテクニックを教える「MINXアカデミー」も、「レベルが高い」などと言っていただき好調です。国内はもちろん、アジア諸国でも好評を得ていて、現在は毎週のようにスタッフが講師として現地を訪れている状況です。こうしたアカデミーの活動は、今後も発展させていきたいですね。
WWD:現在、具体的に注力している取り組みは?
岡村:社長に就任してから始めた具体的な取り組みとしては、「動画」と「SNS」の活用があります。「ヘアカットやアレンジ、トリートメントなど、動画で見せることでその魅力や仕上がりの違いが分かりやすく伝わるメニューは多くあります。そうした動画を集客ツールとして活用するため、スタッフ一人ひとりが撮影・編集し、アップしてSNSなどで発信できるようにするための教育を行っています。
WWD:社長としての、当面の目標を教えてください。
岡村:新たな取り組みを行いつつも、長年培ってきた教育方針は守っていきたいですね。「ミンクス」には、本当に個性豊かなスタッフが多いんです。それは、会長の高橋が貫いてきた“長所を伸ばす教育”によるものだと思っています。その教育を継承しつつ、新たに“発信力”を身につけることで、セルフブランディングのできるスタッフを育てていきたい。30年に渡り培ってきた「ミンクス」らしい教育、技術、雰囲気をベースに、新たに個々のブランド力を強化していきたいというのが当面の目標です。
中村慶二郎