コスメ・美容の総合サイト「アットコスメ」を運営するアイスタイルの通期(6月期)の連結決算は、海外向けEC・卸売りが拡大したことや化粧品専門店「アットコスメストア」の成長などにより、売上高が前年比147.8%の142億8200万円、営業利益が同274.6%の17億5100万円、経常利益が同256.1%の16億5700万円、純利益が同363.5%の12億7400万円だった。
事業部別の売上高は、マーケティング事業が同114.6%で52億1500万円、小売事業が同183.5%で82億6700万円、美容事業支援事業が同131.7%で8億円と全セグメントで2桁成長を達成した。マーケティング事業は、主要サイトの「アットコスメ」がタイアップ広告を中心とするブランディングサービスや、月額固定料金で提供するブランド専用のコミュニケーションサービス「ブランドファンクラブ」の販売が順調に伸長した。また、美容製品のサンプルを毎月届ける会員制サービス「ブルームボックス」を中心に、会員の獲得も順調に進み、収益の増加に寄与した。小売事業は、「アットコスメ ストア」を15年10月に溝の口店、16年に関西エリアに3店舗、九州エリアに1店舗をオープンするなど新規出店のスピードを加速。既存店に引っ張られる形で売り上げを伸ばし、前年を上回る結果を残した。美容事業支援事業は、営業体制の見直しを行った結果、エステサロン情報を提供する「アイスポット」、美容業界に特化した求人サービスを提供する「アットコスメキャリア」の売り上げが増加した。
今期スタートの中期事業計画「Road to 2020」では、事業セグメントを再編。新セグメントは、「ワンプラットフォーム事業」「ビューティサービス事業」「グローバル事業」の3つで、「アットコスメ」を基盤とした収益構造の強化や海外への本格進出を目指す。吉松徹郎・社長は「『ワンプラットフォーム事業』に属する美容に関わる全ての情報にIDを振り、ネットワークすることで新たな情報の流れを作る『ビューティプラットフォーム』に力を入れ、中期事業の柱にしていく。その他、好調な『アットコスメストア』などさまざな店舗業態の開発を促進し、20年までに年間10店舗ペースで出店を加速する」と話す。
17年6月期は、中長期を見据えた新規事業への先行投資や本社オフィス増床などにより減益となる予定。連結売上高は、同130.3%の186億900万円、営業利益が82.8%の14億5000万円、経常利益が81.6%の13億5200万円、純利益が67%の8億5400万円の増収減益を見込んでいる。
中出若菜