“手に入りにくく、人とカブらない”モノを求める
消費者マインドは顕在
90‘sやストリートファッションがトレンドに浮上する昨今、スケートブランド「シュプリーム(SUPREME)」の勢いが止まらない。ファッションにアートや音楽の要素を絡めたち密なブランディングや広告が奏功し、スケーターのみならず幅広い層から人気を得ている。その「シュプリーム」に続けとばかりに今、新しいスケートブランドが続々と登場している。小規模で、一般的には知名度が低くとも、コラボレーションアイテムを発売すれば行列ができるようなブランドも多い。“手に入りにくく、人とカブらない”モノを求める消費者マインドは顕在のようだ。
では、今消費者が求めているスモールブランドとはどんなブランドなのか。ロンドンのスケートクルーが始めた「パレススケートボード(PALACE SKATEBOARDS 以下、パレス)」は、VHS風のスケート映像が支持を得て、その後すぐにDJのセオ・パリッシュとレコードをリリース。さらに「リーボック(REEBOK)」とコラボし、「シュプリーム」でも取り扱われたことで一気にスターダムにのし上がった。「パレス」の成功も影響し、同じようにローカルなスケートクルーが始めるスモールブランドが各地で誕生している。
若い世代の間で火がついたスモールブランドブーム
これまで、スケートショップのみで取り扱われていたようなブランドに早くから目をつけ、ファッション的に取り入れてきたショップの一つがドーバーストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)だ。ロンドン店でのスモールブランド人気を受け、銀座店でも2014年からスペースを拡大。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VITTON)」の広告映像にも起用された「シュプリーム」チームのスケーター、アレックス・オルソン(ALEX OLSON)が手掛ける「ビアンカ シャンドン(BIANCA CHANDON)」や「コールミー917(CALL ME 917)」など、スケート派生ブランドを積極的に販売してきた。
さらにナイキ(NIKE)やアディダス(ADIDAS)などの影響力のある大手スポーツメーカーが、スモールブランドと協業したことで、人気に拍車がかかった。「アディダス オリジナルス バイ パレス(ADIDAS ORIJINALS BY PALACE)」のように街のスケートショップと継続的にコラボモデルを販売することも今や珍しくない。規模は小さくても大手と協業することで綿密なプロモーションプランを確立し、ブランド知名度と人気を一気に高めるブランドもある。“BIG IN JAPAN”を目指すブランドは「シュプリーム」の成功に習って日本での販路を徹底的に絞り、それにより消費欲を駆り立てる。手に入りづらいモノをどれだけ人とカブらないスピードで着用するかにこだわる若い世代の間でスモールブランドブームに火がついた。
「ビームス サーフ アンド スケート(BEAMS SURF & SKATE)」の加藤忠幸バイヤーは「昨今1990年代が注目されているが、ストリートにスケーターが台頭し始めたのがちょうど90年代。スケーターのマーク・ゴンザレス(MARK GONZALES)やトミー・ゲレロ(TOMMY GUERRERO)などの登場で、スタイルが急に変わり始め、若者もその人たちの着ているスタイルを求めた。彼らは洋服にお金をかけるわけではなかったが、自分の好きなスタイルを投影していた。今の若い子も洋服にお金をかけることが少なくなった分、人とは違うファッションを見つけようとしているのではないか」と話す。
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