REPORT
フランク・ゲーリーの建築から着想した再構築エレガンス
今季のテーマは、建築家のフランク・ゲーリーが得意とする建築技法の”マッタ・クラーキング(Matta clarking)”。建築の構造部分を切り離して、新たな形を造りだす技法だ。ゲーリーが手掛けたビルバオ・グッゲンハイム美術館の外装の曲線美や、「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」の帆を広げた船のような屋根の形などもコレクションの着想源になっている。
ファーストルックは、トレンチコートを再構築したベージュのロングワンピース。3重にしてサイドに縫い付けたラペルやアシンメトリーな裾がポイントだ。また、ジャケットのスリーブを胸元に巻き付けたシャツワンピースや、ジャケットの前身ごろをドッキングしたショートパンツなど、ひねりを加えたウエアが登場する。いずれも、変形シルエットであるが、ベージュやネイビー、グレーなどのベーシックカラーを使うことで、エレガントで都会的な印象を持たせている。
今回、ショー会場に選んだのは、東京・表参道にある南青山ギャラリー。入口には植物の壁がそびえ立ち、コンクリート打ちっ放しの内観がガラス越しに見える洗練された空間だ。「メゾン感を出せるように、この会場を選んだ」と言う江角泰俊デザイナー。その”メゾン感”を出す試みは、会場選びだけではなく、スタイリストやヘアメイク、演出に新たなメンバーを迎えているのも一つ。スタイリングを担当したのは、モード誌で活躍する仙波レナだ。
また同ブランドは、前シーズンからニューヨークの展示会に参加。その成果で、ハーヴェイニコルズやギャラリーラファイエット、リバティなどの海外の百貨店でも取り扱われるようになった。今後さらに、商品の質を向上し、ショーピースの価格帯を上げ、ブランドのグレードアップを狙う。