矢野経済研究所が発表した2015年の国内インポートブランド市場の調査によると、同市場の規模は前年比107.6%の2兆3664億円(小売金額ベース)だった。調査の対象となったのは、アメリカおよびヨーロッパから輸入された、ウィメンズウエア、メンズウエア、バッグ・革小物、スカーフ・ショール・ハンカチ類、シューズ、ウオッチ、ジュエリー、筆記具などの主要15アイテムカテゴリー。全体的にとしては、インバウンド需要の大幅な増加と富裕層を中心とした国内のブランド顧客の消費活性化の恩恵を受け、5年連続のプラス成長になった。一方、衣料品・服飾雑貨品に限ると、前年よりも大きな伸長が予想されていたにも関わらず、同102.6%の1兆2866億円にとどまり、価格の値上げによる中間層の消費減退の深刻さを印象付けた。
カテゴリー別では、メンズウエア(同106.0%)やバッグ・革小物(同104.7%)など8アイテムで伸長を記録した。特に好調だったのは、インバウンド需要の高いウオッチ(同117.6%)とジュエリー(同112.2%)だ。一方、シューズは暖冬やブーツの不振、スニーカーやカジュアルシューズなどの比較的安価なアイテムの需要拡大が影響し、同96.9%に終わった。
今年の上半期は、中間層の消費減退の継続やインバウンド需要の失速により、昨年の好調ぶりは薄れつつあるようだ。また、すでに決まっている新規出店やリニューアルなどへの投資以外は控えるブランドが多い他、株価も15年に比べ下落傾向で先行きが不透明なため、16年の同市場規模は同91.5%の2兆1649億円と、一転して大幅な減少が予測される。
出典:矢野経済研究所「国内インポートブランド市場に関する調査(2016年)」(2016年8月26日発表)
藪野淳