パリ観光局はこのほど、2016年の観光収入が15億ドル(約1500億円)落ち込む可能性があると発表した。16年1?6月の観光客は前年より100万人少なく、宿泊客は前年同期比で6.4%減った。パリの観光収入は約3分の2を外国人が支えている。パリ、ブリュッセル、ニースにおけるテロと、春季の降雨量が150年で最大を記録したことが要因だと分析した。
仏投資銀行のエクサンBNPパリバ(EXANE BNP PARIBAS)によると、フランス国内のラグジュアリー品消費の74%はパリが占める。別の調査では、世界だとニューヨークが1位、次いでパリ、ロンドンが3位という結果が出ている。フレデリック・ヴァルトー(Frederic Valletoux)=パリ観光局プレジデントは「全く予想もできなかった観光客数の減少は観光産業における大惨事だ」と語り、ジャン・マルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)外務・国際開発大臣に観光専門家を集めて緊急対策を練るように命じた。
観光局によると、パリには年間3000万人の観光客が訪れ、50万人の雇用を生み出す。フランス全体では年間約8450万人の海外観光客が集まる。16年前半、パリを訪れた日本人観光客は同46.2%減、ロシア人は同35%減、イタリア人は同27.7%減、中国人は同19.6%減、アメリカ人は同5.7%減だった。国内の観光客も同3.5%減の830万人だった。ホテル、博物館、観光名所、カフェ、レストラン、百貨店、ツアー会社など、観光産業全般が影響を受けたという。パリのグラン・パレの来場者数は同43.9%減、凱旋門は同34.8%減、ヴェルサイユ宮殿は同16.3%減だった。
一方でビジネス旅行者は同14.4%増で、ホテルの売上高の53.8%を占めた。