三越伊勢丹ホールディングスは7日、「三越千葉店」と「三越多摩センター店」を2017年3月20日(予定)で閉鎖すると発表した。
ピーク時には500億円の売上高を誇った三越千葉店だが、近年は低迷に歯止めがかからず、16年3月期の売上高は126億円に沈んでいた。改装や人件費の見直しを行っても赤字体質からの脱却は困難との判断に至った。同社は今後、外商・ギフト・学生服の顧客に対し、現店舗周辺に小型サロンを開設する。
同店は1972年、地場の奈良屋と三越が合弁で運営する百貨店「ニューナラヤ」として千葉駅近くに開業。84年に屋号を千葉三越に、2013年に現在の三越千葉店に改称した。地上8階・地下2階で売り場面積は約2万4787平方メートル。三越のブランドバリューで外商が強かったものの、地域一番店のそごう千葉店(売り場面積約7万平方メートル)との集客競争や有力ブランドの獲得合戦で苦戦を強いられてきた。また近年は郊外型ショッピングモールの増加によって、千葉駅前の古くからの商業地への来街者が減っていることも痛手になった。三越千葉店の近くで営業するパルコ千葉店も11月末に閉店することが決まっている。
一方で三越多摩センター店は多摩そごうの跡地に00年に開業し、ピーク時の売上高は70億円弱までのぼった。現在はココリア多摩センターのテナントとして出店しており、地上2階・地下1階で売り場面積は1万2273平方メートル。低迷を打破すべく上層階の業態転換を行い、客数は一時的に伸びたものの、近年再び業績が悪化していた。
百貨店業界では主力である衣料品の深刻な不振もあって、今年に入り、閉鎖の発表が相次いでいる。そごう・西武は、2月に西武春日部店(埼玉県)を閉め、9月末には西武旭川店(北海道)とそごう柏店(千葉県)を閉店する。来年2月末には西武筑波店(茨城県)と西武八尾店(大阪府)の閉鎖も決まっている。阪急阪神百貨店も来年7月末に堺北花田阪急(大阪府)を閉めることを発表した。大手百貨店の業績を下支えしてきた訪日外国人による高額品消費にブレーキがかかっており、地方店の不振をカバーしてきた都心店にも余力がなくなってきている。