ファッション

ファイブフォックスが京都市と提携 京文化とビジネスをつなぐ

 ファイブフォックスは7日、京都市との間で文化力向上包括連携協定を締結した。京都の伝統産業との連携による商品開発や歴史的建造物を活用したイベントの実施などにより、京都文化の振興と地方創生に貢献していくことを目指す。

 同社は2015年、京都市の協力により「琳派400年記念祭」を開催。現代の琳派絵師と呼ばれる木村英輝氏の作品をモチーフにしたアパレル商品や、風神雷神図屏風をイメージしたケーキを発売し、コムサ・ステージ銀座店ではトークショーや琳派入門講座を開催した。さらに今春、「伊藤若冲生誕300年記念」として、若冲の世界をテーマにしたアパレル商品とケーキを展開。「若冲の世界を刺繍したスカジャンが飛ぶように売れた。若者や外国人など今までにないお客さまが増えた」(同社広報部)という。

 9月8日からは「秋の若冲 伊藤若冲をお手本に」と題してウィメンズ、メンズ、キッズの秋冬コレクションを全国134店舗で発売する。升目描きの作品「白象群獣図」を全面にプリントしたワンピース(6万円)や、上向きに首を長く伸ばした鹿図を編み込んだニットのプルオーバー(3万9000円)など、若冲の作品を題材にした全84型を「バジーレ28」「アルチザン」「ベータ」「コムサフィユ」の4ブランドで展開。京都の老舗染工所の職人によるハンドプリントを一部商品に採用した。また、9月10日〜19日、京カフェコムサなど22店舗で京都ウィークを開催。若冲作品の孔雀や虎をイメージし、京都の老舗の和素材を生かした創作ケーキが登場する。ケーキをのせる京焼や清水焼の皿は、2年前に発足したKYO-MONO is COOL!プロジェクトのメンバーの作品が使われる。
 今後の計画は、来年の大政奉還150周年記念プロジェクトとして、歴史的建造物でのファッションショー開催や幕末関連都市と連携した商品開発のほか、京都市の姉妹都市であるパリでも事業展開を予定する。菊地豊・取締役は「京都との点のつながりが線になり、面へと発展した。この2年間の取り組みが評価され、今回の提携につながったと思う。さらに地域を広げて文化でつなげることで面から立体的に展開していきたい。これを弾みに、衣食を越えて文化的なライフスタイルを企画し、新たな消費を喚起して経済の活性化につなげたい」と意欲を見せた。京都市の門川大作・市長も「文化の力で全国を元気にしていきたい。文化は価値創造のタネになる。さまざまな文化的資産と伝統産業に携わる匠の技を融合して新たな商品を開発し、ひいては伝統産業の後継者育成にもつなげたい。この提携がそのスタートになる」と語った。
(フリーライター 橋長初代)

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