松屋銀座は、外商顧客や上顧客を対象にしたイベント「松美会(しょうびかい)」を9月6日に開き、同日の全館売上高が約8億6000万円に達した。訪日外国人の爆買いがピークだった昨年9月の実績と比べると4%減だったものの、国内の富裕層の消費は堅調で特選ブランドや宝飾品を中心に売れ行きは活発だった。2月と9月の年2回開く松美会は、招待客限定のライブやトークショーなどを開く8階の特別会場のほか、一般客も各フロアで行われる約40のイベントを楽しむことができる。
百貨店の外商イベントはホテルの宴会場を貸し切ってジュエリーや時計、呉服、絵画などの高額品を販売することが多い。一方、松屋は2009年から会場を銀座の店舗に移し、限られた商品だけでなく、全館をあげてサービスを施すイベントに刷新した。年を重ねるごとにスケールアップしていき、当初4億円前後だった売上高はほぼ倍増。一日の売上高としては初売りを抜いて年間の最大額を稼ぐようになった。同社のカード保有者の客単価は約8万円。「普段の外商のお客さまは50代以上が中心だが、松美会には娘さんやお友達と一緒に来店してくださる。以前から欲しかった商品を、松美会の日まで待って購入する方が多い」(松屋の河野新平・販売促進課長)。外商顧客や一般顧客に来館の機会を作り、各フロアの多彩なイベントによって買い回り率を高める効果をあげている。
今回、300席が用意された8階の特別会場では食事やワインと提供するとともに、歌舞伎役者の坂東巳之助、書道家の紫舟、メンタリストのDaiGo、「メンズEX」の大野陽・編集長らのトークショーや音楽ライブが行われ、「ブルガリ」のジュエリー&ウオッチの1日限定店舗も設けられた。各フロアでは、ブランドのデザイナー、有名料理人などが店頭でイベントを行ったほか、店内を巡るビンゴ大会、松屋の商品券など総額300万円相当が当たる抽選会も実施された。