ポール・アンドリューを知っていますか?先日「サルヴァトーレ フェラガモ」のウィメンズ・シューズのデザイン・ディレクターに起用された英国出身でニューヨークを拠点に活動しているシューズデザイナーです。
「フェラガモ」といえば靴。でもシューズのデザイン・ディレクターはこれまでにないポジションでした。つまり、「フェラガモ」の彼への評価は高く、寄せる期待もかなり大きいということです。
「ポール アンドリュー」は2013年春夏にデビューし、間もなくCFDAの「ヴォーグ」ファッション基金のトップオーナーズをはじめさまざまな賞を受賞し、瞬く間に注目を集めました。バーグドルフ・グッドマンでは「クリスチャン ルブタン」や「マノロ ブラニク」と並んで販売されていて、アメリカでは人気シューズブランドのひとつに数えられています。日本では、有力セレクトショップにも並び始めました。
ポッと出のようですが実は彼、とってもキャリアが長いのです。「カルバン・クライン」「ダナ キャラン」「アレキサンダー・マックイーン」といったメゾンでかれこれ15年以上。来日したときのインタビューで、「ブランド立ち上げの準備が整うのに時間がかかった。僕の目指すエレガントで洗練された靴がトレンドに合わない時期もあったから」と話していました。かなりまじめで堅実。ブランド立ち上げ前に500人以上の女性にインタビューし、検証して生み出したというフィット感と快適性を備えたシューズは、美しいシェープと履き心地を両立しています。「ライフスタイルが変化しているから、足の形状が変わっていることがわかったんだ」。2週間に一回はイタリアの工場を訪れチェックを重ねているというし、星座の話をしたときに「僕は山羊座なんだけど、働き者で才能があるんだって(笑)」と照れながら話した姿が印象的でした。
そんな彼のプレゼンテーションは朝9時からだというのにすでに大勢の人!注目の高さが伺えました。今シーズンのフォーカスした都市はデンマーク。毎シーズン、建築や街並みなどインスピレーション源をさまざまに、都市をテーマに選んでいます。今シーズンは、彼がカントリーサイドに買った家のために見たデンマークの家具からインスパイアされたコレクションでした。「デンマークの家具と僕の靴へのアプローチは似ていると感じたんだ。常に形と機能性を求めているでしょう?」。彼は美しいアーチが特徴のフォームとユニークな素材使いを得意としています。今シーズンも素材のミックス感が面白く、美しくモダンなシューズを提案しました。ちなみにお父さんが、英国王室御用達の壁紙張替え職人をしていたそうで、幼少期からインテリアや建築に興味を持ち始めたそうです。「フェラガモ」のデザイナーに就任したことに関して「ブランド初のシューズのデザイン・ディレクター!とても光栄に思っているしとってもエキサイティング!」と話してくれました。彼によるコレクションは2017-18年秋冬から。今からとても楽しみです。