今回のニューヨーク取材で見つけた面白い若手ブランドを個人的な思いとともに紹介したいと思います。
個人的に一番着てみたい!と思ったのは「クラウディア リー」です。カットオフでぱっくり開いたデザインや、即席で貼り付けたようなディテールで作るこのバランス、面白いですよね。ユルっとしててリラックス感があるのに強い。服に持っていかれないように背筋をシャンと伸ばして着こなしてみたいコレクションでした。クラウディアは、お父さんがアートディーラーでお母さんがオペラ歌手。中国の小さな街で生まれ、シンガポールやニュージーランドで育ちました。オークランドと北京でペインティングを学び、その後、ロンドンのセント・マーチン美術大学とNYパーソンズでファッションを学びました。そして、ここからが面白い!レディー・ガガのスタイリングを手掛けていた時代のブランド・マックスウエルの元でインターンをします。ブランドンはその後、ウィメンズブランド「ブランドン マックスウェル」を立ち上げ、LVMHのファイナリストに残るなど着実にステップアップしています。さらに、その後「J.W.アンダーソン」で4シーズン。なんでもパーソンズの卒コレを見たジョナサンが直接彼女にコンタクトを取ってきたとか!確かにジョナサンと通ずるところを感じさせるクリエイションです。
でもちょっと高いんですよねえ。シャツでも10万円以上。コートは20万円程度ですって。なかなかこのチャレンジングなデザインでこの価格のバランスは難しいのかしらと思ったりもしています。
次にいいなと思ったのは、「ロージー アスリン」。
9月5日号の「WWDジャパン」のニューカマー特集で表紙を飾った注目のブランドです。ロージーは「美しくユニークなピースでありながら、着る人が身近に感じられて着やすいこと。心地良いだけではなくスペシャルに感じられる服を提案したい」と語っていましたが、まさにその通り!今回フォーカスしたビーチスタイルも、ドラマチックで思い切ったデザインながら、今すぐ着てみたいと思う内容でした。日本では17年プレ・スプリングからリステアが買い付けています。さすが柴田さん!柴田麻衣子リステア クリエイティブ・ディレクターも特集の中で、「ラグジュアリーでありながらカジュアルダウンできるミックス感がまさに“今”のハイファッション」とコメントを寄せてくれました。ぜひリステアのブティックでチェックしてみてください。そして、ニューカマー特集をまだチェックしていない方は、ぜひ紙面をチェックしてみてください。彼女のクリエイションへの想いはもちろん、経歴や取り扱い店舗、価格帯まで、新人担当記者が調べ上げた情報がてんこもりです。今日から始まったロンドン、これから始まるミラノ、パリのチェックすべきブランドも紹介していますよ〜。
3ブランド目は「モンス」。こちらもニューカマー特集で紹介しています。「オスカー デ ラ レンタ」で実力を磨いたローラ・キムとフェルナンド・ガルシアによるブランドで、彼らは先日「デ ラ レンタ」のクリエイティブ・ディレクターに抜擢され話題になりました。テーラリングをベースにフェミニンに着崩すスタイルを、今っぽく表現するのが上手です。完璧すぎない隙があるバランス感が良く、スタイリングも面白かったです。中盤から登場するスパンコールやストライプのシリーズが特に素敵でした。スーパー着飾るというより、えっ、これと合わせるんだ。という意表を突く感じが良かったです。イブニングドレスは、アルマ・クルーニーやサラ・ジェシカ・パーカーらセレブリティーからの支持も高いそうです。「モンス」「オスカー デ ラ レンタ」どう差別化していくのか、「デ ラ レンタ」で何を見せてくれてくれるのか楽しみです。
個人買いしたいのですが、どのブランドも高いんですよねえ。最近のNY若手ブランドはどれも価格帯がラグジュアリー・ブランドと並ぶほど高いです。コンテンポラリーやその上のミドル・コンテンポラリーが苦戦しているので、振り切って提案するのが今っぽいということでしょうか。