9月7~15日まで8日間に及ぶ、2017年春夏ニューヨーク・コレクションのバックステージ取材が終わりました。約25ブランドのバックステージを取材し、ヘア、メイク、ネイルのルックが出来上がるシーンを目に焼きつけ、現場の空気を肌で感じ、今シーズンのビューティトレンドを探ってきました。新卒入社3年目の私にとって、今回が初めての海外コレクション取材。現地のファッション、ビューティ誌、ウェブメディアはもちろん、世界各国から集ったジャーナリストやエディターが、アーティストの一挙一動を追い、ささいな言葉にもペンを走らせる姿に刺激を受けました。
先シーズン(2016-17年秋冬)のニューヨークでは、骨格を強調する大胆なアイラインやダークカラーの目元やリップが注目を浴びました。対して、今シーズンはスキンケアを丁寧に施し、内側から輝くような肌を主役にしたメイクが多かったのは、“生肌”の大きなトレンドが続いているから。アイラインはグラフィック的な入れ方ではなく、一晩中遊び明かしてメイクが落ちてにじんだようなリアリティのある見せ方が特徴的でした。これだけでは先シーズンでも見られたものですが春夏ゆえ、目元はピンクや赤系の明るいカラーで仕上げていました。口元はダークカラーではなく赤やオレンジなどフレッシュなカラーがヒット。眉は上に向かってとかし上げるのが主流になりました。
今シーズン、最も印象的だったのは「ジル スチュアート」のメイクアップでした。リードアーティストのアーロン・ド・メイのインスピレーション源は、ダンサー。来年1月発売の「ジルスチュアートビューティ」の春夏コレクションのアイシャドウをメーンに使い、パープルとグリーン、ブルーとコーラルをそれぞれグラデーションにした2パターンのアイメイクがポイントでした。「わずかに1990年代のムードを取り入れて、フェミニンな世界観の中に強さを表現したんだ」とアーロン。アートスクール出身のアーロンの描く虹色のアイメイクは、絵画のように美しい仕上がりでした。
少々話は逸れますが、バックステージ取材で面白かったのは、アーティストとアシスタントの雰囲気がどことなく似ているということ。先ほど紹介したアーロンは、自由でパンクなスタイルの持ち主。ファーストアシスタントのテイラーもまた、女優のエル・ファニングを思わせるベビーフェースとは裏腹にパンクなファッションがお似合い。2人とも物腰柔らかで周囲への丁寧な対応が素敵でした。また、「アレキサンダー ワン」や「タクーン」など数多くのブランドでリードを務めたメイクアップアーティストのダイアン・ケンダルは、控えめながら愛情深い人柄が魅力的な人物。ファーストアシスタントのキーラもまた穏やかで、黙々と仕事に取り組む姿が印象に残っています。ダイアンもキーラも時折見せる笑顔がとてもチャーミングでした。
各ブランドのビューティルックの詳しいレポートや今季の傾向は、「WWDビューティ」10月13日号のニューヨーク・コレクション特集をお楽しみに。ここでは触れていないヘアトレンドもしっかり分析します。この他、現地のビューティエディターに直撃取材したアメリカでアップカミングなビューティブランド、ランウエイを賑わせた注目モデルも一挙紹介予定です。ぜひチェックしてください。