ファッション

キーマン4人が語るUA六本木店 竹田光広社長編

 ユナイテッドアローズ(以下、UA)は9月22日、基幹ブランドの「UA」旗艦店を六本木にオープンする。89年に創業し、90年に1号店を出店してから四半世紀が過ぎ、いわば‟第2クオーター“のスタートとなる大切な時期に、原宿に続く新旗艦店を築き、新たなステージを目指す。そこで、六本木を選んだ理由と、そこで提供する価値について、竹田光広・社長、店舗内装およびメンズフロアをディレクションする鴨志田康人クリエイティブ・ディレクター、ウィメンズフロアを手掛ける高窪まさみブランドディレクター、永井康夫・店長、そして、内装デザインを手掛けた片山正通ワンダーウォール代表のインタビューを連載形式で届ける。

“六本木店は、100年企業に向けた『進化し続けるための店』”
竹田光広ユナイテッドアローズ社長

WWDジャパン(以下、WWD):原宿に続く旗艦店の地として、六本木を選んだ理由は?

竹田光広・社長(以下、竹田):原宿店は建築家のリカルド・ボフィルを起用した装飾的なデザインで、「UA」の世界観を象徴的に表現してきた。創業から26年の間で、出店を拡大したり、準郊外にも店を構えたり、新業態を開発したりしてきたが、それらができたのも原宿店があり、そのエッセンスをデベロッパーの方々にもお客さまにも求められることで、出店が加速した。UAは2014年に創業25周年を迎え、“100年企業”に向けたセカンドクオーターのスタートを切っている。原宿という場所は日本のファッションを発信してきた場所だが、客層も変わってきた。次はお客さまや街の進化に合わせて、六本木という新天地で、セレクトショップとしての原点を再び追求したい。六本木は、原宿とも銀座とも、丸の内とも違うニーズと、さまざまなお客さまが訪れるフュージョン感覚のあるインターナショナルシティーだ。単なる観光だけでなく、住まわれている方々、仕事をされている方々、旅行やビジネストリップで滞在されている方々などが集まり、今の時代感を象徴する重要なエリアだと考えた。創業者の重松理・名誉会長がUAを「進化し続ける老舗」と銘打って育ててきたが、六本木店は「われわれが進化し続けるための店舗」にしていきたい。

WWD:品ぞろえの考え方は?

竹田:これまで強みにしてきた“編集力”をさらに磨き、六本木のお客さまに認めていただけるような一格上の品ぞろえを行う。このエッセンスは、既存店にも広げたい。今回の出店に当たり、われわれは何屋なのか、原点に立ち返ったとき、やはり「洋服屋」であり、「セレクトショップ」としてリスタートを切りたいと考えた。特にドレス軸で、大人の都会の方々に対する店にしていきたい。

WWD:人・モノ・器の中で、人の部分、接客サービスの体制は?

竹田:原宿店も時間をかけた接客でお客さまに満足いただける店づくりを大切にしているが、六本木店でもサービスを重視する。海外からのお客さまや、ニューリッチ層など、六本木の方は日頃から優れた接客を受けている。そういったお客さまからも学びつつ、スキルを磨く。スタッフは約50人で、もともとの六本木店メンバーに加え、「UA」業態を中心に全国から優れた販売員を集めた。当社では「販売に特化した優れたスペシャリストであり、マナーや立ち居振る舞いを含めて社内でも尊敬され、認められる存在」として、セールスマスター制度を導入している。今、全国に40人が存在するが、そのうちの5人、8%がこの六本木に集結する。社内公募時には、別業態からも「六本木店で挑戦したい」という声が多く挙がり、社内からの注目度も高い。

WWD:竹田社長は六本木にどのようなイメージを持っているか?

竹田:商社マン時代にはまあよく来ていましたし、ギラギラしていましたよね。でも今は、大人が行っても安心だし、違和感がない街になっている。六本木ヒルズは駐車場も快適で、飲食店の選択肢も多いため、休日に自分で運転してきて、食事をしたり、お茶を飲んだり、買い物をしたりしている。東京ミッドタウンにも大人の方が多い。新しい顧客と出会うポテンシャルにも期待している。

WWD:インターナショナルシティーである六本木で勝負するということは、海外、特に欧米への試金石にもなりそうだが。

竹田:もちろん、欧米でも挑戦したいと思っていて、常にリサーチはしている。すでに出店している台湾は学習途上だが、予定通りの進捗だ。日本人の店長とローカルスタッフで構成し、われわれの接客や理念が伝わっているという手応えがある。六本木店は世界に向けた一つの布石になると思う。

WWD:常設部分だけでなく、最近はワークショップやポップアップストア、トランクショーなどのイベント的な施策に対するニーズも高いが。

竹田:ポップアップストアなどにも使えるイベントスペースを店内に設けている。作り手の思いが伝えられるような取り組みを積極的に行っていく。また、カスタムやオーダーはこれまでスポットで取り入れてきたが、六本木店では常時オーダーメードを受け付けられるようにしたい。短時間でのお直しや、シューシャインサービスもオープン時から導入するなど、サービス内容も拡充している。ヒト・モノ・器、全ての部分で、進化し続けるためのスタートをここ六本木で切りたい。

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