ファッション

賽特商業管理/サイトク・トレーディング 中国で日本商品編集売り場を開設へ

 中国で商業施設開発を手掛ける賽特商業管理は、卓展百貨や春天百貨などの開発や経営を行ってきた李赫男・董事兼総経理らが共同で設立した開発会社だ。2016年1月に設立したばかりだが、大手デベロッパーらが出資しており、22年までに直営型の百貨店を5軒、都心のアウトレット施設を2軒、郊外の大型アウトレットパークを1〜2軒オープンする計画を掲げている。それに先駆けて来年5月には武漢の「武商広場」で、アパレルや雑貨を含め、日本の良質な商品や文化を提案する自主編集売り場(約300平方メートル)を開設するため、日本の取引先開拓に着手したところだ。

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 李董事兼総経理は「“爆買い”現象をはじめ、日本の商品は中国市場でもとても人気がある。伝統を大切にしつつ、最新の技術やトレンドをうまく融合しており、品質も高い。ファッションにおいても東京は世界4大コレクションの一角を担っており、アジア代表としてさまざまなトレンドを生み出してきた」と評価する。

 中国では近年、中間層が急激に増加しており、近い将来には倍増するともいわれている。すでに日本への観光客も年間500万人を突破し、日本の商品だけでなくライフスタイルそのものへの関心が高まっている。来るべき成熟消費の前に、日本商品の仕入れ・販売体制を確立したい考えだ。

 さらに、中国では住宅バブルや都市化開発ラッシュなどにより、20年までに大型商業施設が1万カ所に達するといわれるほど競争が激化している。しかも、テナントは欧米系や韓国系が多く、同質化が問題視されている。日本商品を集積して提案することで、差別化を図り、支持される売り場を作りたい。目指すのは東急プラザのヒンカリンカのような、伝統と前衛を掛け合わせ、その2つの要素を反映したような売り場だ。日本文化を表現し、生活文化そのものを提案したい」と語る。

 ただし、「日本はいいモノ作りをしていても中小企業が多く、単独で中国に進出するのは資金的にも人材的にも難しいところが多い。また、40代になっても体形維持を怠らない日本ではワンサイズのブランドも多いが、そのままでは中国では問題になるなど、サイズへの対応も課題となる」。

 そこで今年8月から日本法人サイトク・トレーデングの会社登記に着手し、日本企業から直接商品を買い取り、日本円で決済し、日本国内の倉庫に納品することで取引を完了させ、取引先を煩雑で高コストな輸出業務から解放できる体制を敷いた。
 
 さらに、サイズや商慣習などにも対応できるように、日中の小売りやファッションに通じた専門家もチームに招き、アドバイスをしたり、売り場の運営やVMDなどを行い、中国と日本を結ぶ仕組みを構築する。簡単に中国で販売網や販売機会を設けられる、安心かつ信頼されるプラットホームを目指すというものだ。
 

 モデル店舗を出店する武商広場は、中国有数の売り上げを誇る商業施設で、すでに出店しているマッシュホールディングスの「スナイデル」も好調。「日本には、チャレンジ精神を持つ人や、中国で売れる潜在能力を持った会社やブランドは多いはずだ。リスクは限りなく低減しているので、少しでも興味があれば挑戦してほしい」。

【モデル店舗の出店施設情報】
名称:武商広場
住所:武漢市江漢区航空路解放大道688号
売り場面積:約6万平方メートル
売上高:33億人民元(約498億円)/武漢地域一番店

【モデル店舗情報】
売り場面積:約300平方メートル(予定)
開店日:2017年5月(予定)

【会社情報】
名称:賽特(上海)商業管理有限公司
代表者:李赫男
設立:2016年1月
資本金:2000万人民元(約3億円)
所在地:上海市長寧区中山西路1055号 SOHO中山広場A座307室
主な株主:賽特(上海)商業投資管理、西蔵都市発展投資股分(上海証券取引市場上場)、卓尓控股(香港証券取引市場上場)
事業内容:ショッピングモール・百貨店・アウトレットパークなどの大型商業施設の開発・運営委託事業
今後の開発予定物件:西安北関(ショッピングセンター)、西安西咸(国際アウトレット総合商業施設)、泉州(ショッピングセンター)など

【問い合わせ先】
サイトク・トレーディング
電話:03-5259-8652
メール:liyg@saite-sh.com