そごう柏店(千葉県)は30日夜、営業を終了し、43年の歴史に幕を下ろした。最終日の店内は別れを惜しむ地元の人たちで終日ごった返した。また店の前では外観をスマートフォンで撮影する人の姿が至るところで見られた。夜8時過ぎの閉店セレモニーが近づくと、同店と柏駅をつなぐスカイデッキは数百名の地元市民で埋め尽くされた。浮橋和美・店長をはじめ各売り場のスタッフが正面玄関の前で感謝の言葉を述べ、シャッターがゆっくり下り始めると、拍手とともに「ありがとう!」との声があちこちからあがった。
地元の60代の女性は「(駅の反対側にある)若い人向けの高島屋よりも落ち着いた雰囲気のそごうが好きだった。昭和55年(1980年)に柏に引っ越して以来、家族で利用してきた。それまでスーパーで服を買っていたが、主人の月給が上がったころだったので、百貨店で買い物することが楽しかった」と振り返った。一方、結婚で3年前から柏に住む20代の女性は「閉店セールに惹かれてきたが、普段はららぽーと(柏の葉)で買い物することが多い。小さい子供がいると、自動車で行けるショッピングセンターの方が便利」と話した。同店では7月12日から閉店売り尽くしセールを各フロアで開始。9月単月の売上高は前年同月に比べて3倍に跳ね上がった。
そごう柏店は1973年、東京のベットタウンとして人口が急激に増加していた柏市に開業。柏駅前は、高島屋とマルイも進出し、流通の激戦区として注目されていた。ピーク時の89年には590億円の売上高を誇っていたが、その後、消費者の百貨店離れや郊外に大型ショッピングモールが相次いで開業したこともあって、直近は115億円と5分の1規模に縮小していた。そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの構造改革の一環として、3月に閉鎖が発表されていた。そごう・西武は同じく30日、北海道の西武旭川店の営業も終了させている。
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