三越伊勢丹ホールディングスは10月1日、パリ15区のパリ日本文化会館内に小型店「ザ・ジャパン・ストア・イセタン・ミツコシ・パリ」をオープンし、前日にレセプションパーティーを開いた。地元フランスメディアのほか、木寺昌人・駐フランス特命全権大使や、芸術家故バルテュスの夫人である節子・クロソフスカ・ド・ローラ氏などヨーロッパ在住の関係者も多く来場し、にぎわった。インビテーションなどに使用したエッフェル塔と着物姿の女性のイラストは、デザイナーのオランピア・ルタンの父であるピエール・ルタンが手掛けた。
90平方メートルの店内は、食と生活雑貨とファッションの商品で構成。レセプションでは特に「サダハルアオキ」「ジャン=ポール・エヴァン」「クリスティーヌ・フェルベール」といったフランスの食のスペシャリストと日本の茶専門店「一保堂茶舗」がコラボレーションしたスイーツなど、食が人気を集めていた。ターゲットは地元の人ではあるが、日本のモノでありながら同店でしか買えない商品も多く、日本人観光客にとっても新しいパリ土産の店として話題になりそうだ。
レセプションでゲストを迎えた大西洋・社長は、「食とリビングとファッションのバランスなど課題は多いが、フランスメディアの反応はまずまず。ここでのマーケティングの結果を検証し、将来的にはパリに三越伊勢丹ののれんを出したい」と手応えを語った。
パリ出店を見据え、同社は同店を地元フランス人からの反応を見るテストマーケティングの場としてとらえている。目指すはポップアップではなく、地元に根付く店作りだ。「百貨店である以上、地元の人たちに繰り返し来店してもらえる店で、日常で使ってもらえるモノを扱いたい。どういう日本のモノが好まれるのか、検証結果を反映してゆく」と中川一・海外事業本部海外部部長。
PHOTOS BY IKU KAGEYAMA