百貨店大手5社の9月度は、三越伊勢丹が前年同月比4.4%減、高島屋が同4.2%減、そごう・西武が同0.2%増、大丸松坂屋百貨店が同7.4%減、阪急阪神百貨店が6.8%減だった。当月は雨が続き、高温の日が多かった。衣料品は引き続き中間層の財布のひもが固く、特にジャケットやコートなどの出足が鈍った。ただ、各社は苦戦を前提に、独自のイベントや商品提案に本腰を入れており、一部では成果が見られる。
三越伊勢丹は2ケタ減だった8月に比べ、マイナス幅は縮小した。伊勢丹新宿店は同4.6%減、三越日本橋本店は同6.2%減、三越銀座店は同2.0%増だった。地方店ではカープ優勝セールを実施した広島三越が同4.5%増だった。衣料品や宝飾・時計の低迷は変わらずだが、お得意様販売会などのイベントで買い上げ客数は前年同月を上回った。
高島屋は婦人服が同12.4%減と足を引っ張った。一方で他社が軒並み落ち込んでいる免税売上高が同16.7%に伸びた。宝飾品などの高額品での爆買いは減ったものの、化粧品など婦人雑貨の販売が大幅に伸びた。日本橋店は同5.5%減、横浜店は同5.0%減、大阪店は同4.4%減だった。
そごう・西武はわずかではあるが、唯一、前年実績を上回った。プラスは7カ月ぶり。紳士服は前年実績をクリア、婦人服も微減にとどまった。デザイナーの高田賢三やカール・ラガーフェルドと組んだプライベートブランドが目標値の3割増で推移した。化粧品やインテリアも堅調だった。9月30日で営業終了した西武旭川店とそごう柏店の閉店セールも寄与した。
大丸松坂屋百貨店は、建て替え工事中の大丸心斎橋店本館の影響を除くと同5.1%減。大丸の札幌店、東京店、松坂屋上野店の東日本の3店舗は前年実績をクリアしたものの、全体では婦人服の同7.5%減、紳士服の同4.9%減が響いた。免税売上高はマイナスだが、8月に比べるとマイナス幅は縮小しているという。
阪急阪神百貨店は旗艦店の阪急本店が同5.2%減。ラグジュアリー・ブランドが堅調に推移した。100万円以上のバッグや宝飾品などの売上高は1割増えた。婦人服は秋物のアウターが不発で1割減だった。