「ブリオーニ(BRIONI)」は10月4日、3月に起用したばかりのジャスティン・オシェイ(Justin O'Shea)=クリエイティブ・ディレクターの退任を発表した。後任は決まっていない。
オシェイはブレンダン・ミューラン(Brendan Mullane)の後任として起用された。その前はラグジュアリーECサイトのマイテレサ(MYTHERESA)のグローバル・ファッション・ディレクターを務め、主にウィメンズウエアを監修していた。その頃から「ブリオーニ」のスーツを愛用しており、ジャンルーカ・フローレ(Gianluca Flore)=ブリオーニ最高経営責任者(CEO)により直接起用された。
オシェイはブランドに新しい風を吹き込むべく、6月のミラノ・メンズ・コレクションではなく、7月のパリ・オートクチュール・コレクション期間中に“すぐ買える”コレクションを発表。「ブリオーニ」の旗艦店および公式オンラインストア、一部の小売店で即発売した。広告キャンペーンモデルにヘビーメタルバンドのメタリカ(Metallica)を起用し、ブランドロゴもゴシック調に変えるなど、従来の「ブリオーニ」とはかけ離れたロックテイストを起用した。デザインの専門知識や経験を持っていなかった彼に対し、業界からは非難の声も上がった。
フランチェスコ・ペッシ(Francesco Pesci)前ブリオーニCEOは「オシェイのコレクションはブランドアイデンティティーと合っていなかった。彼は今回ファッション性の高いピースを発表した。確かに以前はファッショナブルなコレクションも発表していたが、1970年代以降はクラフツマンシップと最高品質の素材を生かした、メンズのラグジュアリーブランドとして40年以上続いてきた」と辛口にコメント。他にもロゴの変更や1年に2回も後任を決めずにデザイナーが退任したこと、ブランドの歴史を無視したことなど、ブランドに対する批評が集まっている。発表時期をずらしたことでコレクションを見られなかったバイヤーからも不満の声が上がった。
なお、2017-18年秋冬コレクションは16年11月中旬にミラノのショールームでバイヤー向けに発表し、ランウエイショーは行わない。