寝具の製造・販売を行う昭和西川(清原雅文・社長)が、ユナイテッドアローズ(UA)とライセンス契約を結んだ「スタイル フォー リビング(STYLE FOR LIVING)」の出店を開始した。9月7日に1号店を高島屋横浜店に出店したのを皮切りに、28日には福岡の岩田屋にも出店。UA内では原宿本店ウィメンズ館と、9月22日にオープンした六本木旗艦店内でコーナー展開する。両社のオンラインストアでも取り扱う。
“良質な眠りと健康のプロデュース”を合言葉に掲げる昭和西川が、デュベカバーやブランケット、タオルなどの生産と販売を担当。メンズ・ウィメンズのガウンやパジャマ、パーカやシャツなどのリラックスウエアやワンマイルウエアなど衣料品は、UAが企画・生産したものを昭和西川が仕入れ販売する。
オンワード樫山の元常務で、2014年3月に昭和西川のトップに就任した清原社長は、「お互いの得意な部分を生かしてモノ作りをすることで、補完し合ってよい形でライフスタイル提案ができる」と、従来のライセンスの取り組みを越えたUAとのパートナーシップの狙いを説明する。UA側のディレクターに立つのは、創業メンバーの一人である鴨志田康人クリエイティブ・ディレクターだ。清原社長も「世界観が明確であり、グレード感や素材などについてもしっかりと良いものを作れている」と信頼を寄せる。
商品はデュベカバーが2万円~2万8000円、シーツが1万2000~14000円、ピローケースやクッションが6500~8500円、ブランケット3万8000円、タオル800~3800円、パーカ23000円、パンツ19000~23000円、ガウン55000円、ロングシャツワンピ28000円、メンズパジャマ1万5000円など。立ち上がりはメンズアパレルが好スタートを切っているという。
今後の出店は、伊勢丹新宿店5階のリビングフロアなどをイメージターゲットに置きつつ、全国の百貨店寝具売り場で8~15坪(約26~50平方メートル)前後でコーナー展開をしていく。ファッションビルや路面店なども検討しているが、比較的年齢層の高い顧客に向けて定番を中心にシーズンMDで展開する百貨店ビジネスに対して、52週MDや若い客層など新たな対応が求められてくる。「まずは百貨店の寝具売り場という得意の立地で焦らずじっくりと展開したい」と清原社長。また、新しい展開分類やゾーニングに挑戦する百貨店が増える中で、「ライフスタイル提案型ブランドはチャンスがある。生活シーンをワンブランドで提案する『スタイル フォー リビング』のようなブランドは絶対に必要になってくる」とポテンシャルの高さにも言及する。
なお、昭和西川は1566年に創業した老舗。1971年の発売から45年で400万台以上を販売した自主商品「ムアツ(MUATSU)」「ムアツ スリープスパ(MUATSU SLEEP SPA)」を核とした‟機能性布団“と‟羽毛布団”“まくら”が、売り上げ・収益の3本柱になっている。売上高は2016年2月期が111億4800万円、今期は前期比6%前後プラスで推移中。2020年の200億円実現を目指している。
ライセンスブランドとして「ランバン(LANVIN)」「ミッソーニ ホーム(MISSONI HOME)」「ダックス(DAKS)」「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」なども展開。ファッションアイテムに比べると格段にリーズナブルで、しかも、各々の世界観が明確なため、百貨店の売り場や卸売り先でも差別化商品として存在感を発揮している。
SPA型ブランドとして展開する「アンジャルダン(UN JARDIN)」にも力を入れる。77年にパリのサンジェルマン・デプレで誕生したホームファッションブランドで、現在はライセンス先から引き継ぎ、オリジナルブランドとして百貨店約30店舗で展開中。花と自然をテーマにしたフレンチエレガンステイストで、ベッドカバーやタオル、クッションなどの他、アパレルや服飾雑貨の展開も拡充しているところだ。