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そごう・西武とH2O 異例のタッグ

 セブン&アイ・ホールディングスは6日、阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)と資本業務提携に関する基本合意書を締結したと発表した。セブン&アイは同日公表した中期経営計画で、エリア・業態ごとの選択と集中を進める方針を打ち出した。とりわけ苦戦が続くそごう・西武の百貨店事業における資源再配分の実現を目指して、関西エリアで強い地盤を持つH2Oとパートナーシップを組む。そごう・西武の「そごう神戸店」「西武高槻店」「そごう西神店」の事業はH2Oが承継する。セブン‐イレブン・ジャパンはH2Oグループの推進するポイントプログラム「Sポイント」を関西圏の店舗に導入する。株式の3%分程度を目処に株式の相互持ち合いを協議する。まずはそごう・西武がH2Oの株式(5日時点で約57億円分)を取得予定。

 世間を驚かせたセブン&アイのカリスマ経営者・鈴木敏文氏の会長退任騒動から3カ月。売上高10兆円の巨大流通グループのトップに就いた井阪隆一・社長は、最初の大仕事として中期3カ年計画を策定した。最大の懸案事項は、祖業であるイトーヨーカ堂と、鈴木前会長が傘下に入れたそごう・西武の立て直しだった。

 井阪社長は両社について「選択と集中」を強調。地方店の販売不振による閉鎖が相次いでいたそごう・西武については、西の旗艦店であるそごう神戸店など3店舗をライバルであるH2Oに承継するという奇手を選択した。「百貨店事業は主戦場である首都圏に(経営資源を)集中させる。H2Oは百貨店の経営管理に長けており、高い営業利益率を維持する非常に良いパートナーだ」と話す。人員体制や仕入れ方法、オペレーションなど3店舗の承継の具体的な中身は今後詰める。H2Oは、かつて経営統合直前まで進んだ高島屋と現在も資本業務提携を結んでおり、互いに5%の株式を持ち合っている。H2Oと高島屋は共同開発する自主企画品の拡大を進めており、今年度の売り上げ規模は78億円に達する見込みだ。この取り組みとの関係がどうなるかも今後話し合いをするという。

 3店舗の事業規模は、そごう神戸店(兵庫県)は売り場面積4万3000平方メートルで売上高(16年2月期)が468億円、そごう西神店(兵庫県)は1万8000平方メートルで125億円、西武高槻店(大阪府)は3万9000平方メートルで207億円。現状、採算は維持しているものの、百貨店を取り巻く環境は今後も厳しい。「百貨店市場の縮小は避けられない。とりわけ一番店と二番店の差は拡大していく。他社のニュースで恐縮だが、三越千葉店の閉店決定は、三越伊勢丹という首都圏のナンバーワンブランドでさえも、二番店は難しいということ。そごう千葉店は一番店だから営業利益率4%を維持できている。その意味でも関西ナンバーワンのH2Oとの提携には意味がある」と話す。そごう神戸店の建物は築82年で老朽化が進んでおり、大規模改修が控えている。H2Oの力を借りることで、店舗の再活性化につなげたい考えだ。

 一方、イトーヨーカ堂もGMS(総合スーパー)の慢性的な販売不振に陥っており、中期3カ年計画では20年までに40店舗を閉めることを発表した。残す店舗では不動産を有効活用した再開発への舵を切る。イトーヨーカ堂は駅前などの一等地に土地・建物を有するケースも多い。スーパーだけでなく、マンションやフィットネスジムなどと一体化させた再開発でバランスシートを適正化する。

 百貨店のそごう・西武とスーパーマーケットのイトーヨーカ堂の共通プライベートブランドとして、デザイナーのジャンポール・ゴルチエや高田賢三とのコラボレーションで話題を呼んだ「セットプルミエ」は、イトーヨーカ堂での販売は17年2月期をもって終了する。そごう・西武では販売を継続する見通し。そごう・西武では今秋発売した「セットプルミエ バイ ケンゾー タカダ」が当初計画を3割上回る売れ行きで推移しているのに対し、イトーヨーカ堂では販売が振るわなかったようだ。イトーヨーカ堂は、同じセブン&アイ傘下のバルスの雑貨ブランド「ボンボンホーム」もやめる。

 中期3カ年計画は、鈴木前会長が積極的に推進してきたM&Aの「負の遺産」の処理との見方もあるが、井阪社長は「現時点ではそうかもしれないが、グループに百貨店を迎えて、さまざまなライフステージを用意するビジョンは間違ってはいない。しかし、市場は常に変化しており、その時に応じた処理は必要になる」と説明した。

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