井上善博によるジュエリーブランド「カフカ(CAFCA)」のアルファベットの形をしたジュエリーが人気だ。ひとつのアルファベットにつき、18Kピンクゴールドとプラチナの2つの素材を使用している線の細いピアスは、着け方でアングルが変わるユニークな商品だ。
「着けていると、一見何のアルファベットが分からない。仕掛けとして面白いものを作りたい。概念をデザインしている」と井上クリエイティブ・ディレクター。アルファベットのピアスは各1万4000円。手の届きやすい価格も魅力のひとつだ。
その他にも、シルバーのチェーンを一度解体し、18Kの細いチェーンで再度つなぎ合わせる“ロストファンクション”や、ダイヤモンドの原石を使用した”ブラスト”などのシリーズもそろう。“アングル”シリーズのリングは、どこから指を入れても良いデザインで、着け方でいろんな表情を楽しめる。「大量生産で用いるキャスト(型)を使用せず、職人が手作業で作るのがこだわり」だという。今秋冬から複数の国内大手セレクトショップでの販売が決まり、着実に販路を拡大している。
井上の父親は、ジュエリー企業が多く集まる山梨県甲府市で、自社開発のジュエリーやメーカーのOEMを請け負うイノウエを運営しており、「カフカ」は、同社のブランド事業部としての位置づけだ。彼自身は同社のオリジナル商品のデザインも手掛けている。
井上は、文化服装学院を卒業後、ニューヨークへ渡りメンズウエアのパターンやデザインを担当。その後、日本に帰国し、ファッションブランドでキャリアを積む。モノ作りの考え方において、服だけにこだわる必要はないと考え、2013年に「カフカ」をスタート。今年で30歳。同年から合同展のルームスに出展していたが、「どうせやるなら海外に進出したい」とニューヨークへ行き、いろいろ調べていく中でショールームのミズガラ(MIZUGARA)にたどり着き、2017年春夏シーズンからミズガラで扱うことに。「夢はドーバーストリートマーケットに置かれること。時には涙も武器にしてしまうようなタフな女性、生きるために欲しいものは自分でつかみ取るような女性に着けてもらいたい」。