日頃からバッグを担当していて、それ以前にバッグマニアの自分にとって、コレクション期間中はランウエイショーでも展示会でも新作のチェックが欠かせません。今季もさまざまな提案が見られましたが、実際デザイン的にもコマーシャル的にも優れたアイテムを生み出すのは大変なこと。特にラグジュアリー・ブランドにとってはビジネスの核になるレザーグッズでヒットを生み出せるかは、クリエイティブ・ディレクターやアーティスティック・ディレクターの手腕が問われるところです。もちろん優秀なバッグデザイナーの力も必要で、その両輪がそろって初めてヒットアイテムが生まれます。ということで、今日はそんなヒットの兆しが見える新作をパリからご紹介します。
まずは、“ドリュー”や“フェイ”など最近ヒットアイテムに恵まれている「クロエ」です。「クロエ」の新作アクセサリーには、1シーズンごとにABC順にイニシャルが割り当てられていて、今季は“N”。サドルバッグと半円型のミニバッグをそろえる新作“ナイル”は、ありそうでなかったバングル風のハンドルがポイント。やはり「クロエ」はゴールドのメタル使いがうまいです。ショルダーで使うとき、ハンドルはデザインのアクセントになります。さらに半円型のモデルはアルファベットのチャーム付き。直営店では自分の好きなものを選べるそうですよ。
「ヴァレンティノ」は、マイクロスタッズや小ぶりなメタルクロージャー、きゃしゃなチェーンを使った新作が盛りだくさん。これまで少しハードで重いものが多かったですが、新作はよりクラシカル&軽くて好印象。財布の延長のようなミニバッグも充実しています。
そんな「ヴァレンティノ」から移ったマリア・グラツィア・キウリによる新生「ディオール」のアクセサリーはぐっと若々しくカジュアルな印象に。「DIOR」や「CD」と書かれた大きなメタルパーツや太いストラップ、ゴツめの金具を使い、これまでの「ディオール」のバッグのイメージを一新しました。価格帯がどうなるのか気になるところです。
「セリーヌ」の新作はクラシックなムード。口金を使ったデザインがアクセントになっています。ざっくりとした大きなトートも今季らしいデザインで登場。ビッグバッグは他のブランドのランウエイでも目立っていました。
「ルイ・ヴィトン」は、“ツイスト”に編み上げのハンドルが付いたタイプが新鮮。キルティングで描くモノグラムも控えめでカワイイです。また、トランクをモチーフにしたiPhoneケースもすでにSNSで話題になっていますね。
「ロエベ」からは、クラフト感のあるショルダーストラップがバリエーション豊富に提案されていました。「フェンディ」や「ヴァレンティノ」がいち早く提案し、他のブランドも追随している付け替えストラップは、いよいよ本格的に動き出しそうです。
と、ここまでパリコレブランドから選りすぐりの新作バッグを紹介してきましたが、11月21日号の「WWDジャパン」では、さらに充実した各都市のブランドの新作や2017年春夏のトレンドキーワードを網羅したバッグ&シューズ特集を企画しています。お楽しみに!
PHOTOS BY KIM WESTON ARNOLD, IKU KAGEYAMA