ファッション

ファーフェッチCEOのジョゼ・ネヴェスを直撃 「高級ブランド販売はいずれ2割がECに」

 ラグジュアリー・ブランドやデザイナーブランドを販売するECサイト「ファーフェッチ(FARFETCH)」が好調だ。9言語に対応、100万人の会員に向け、世界180ヵ国に出荷している同サイトは2016年度、売上高は前年比6割増の8億ドル(約824億円、1ドル=103円換算)に達する見込みだ。ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼最高経営責任者(CEO)は「われわれは世界でも唯一の高級ブランドのオンラインプラットフォーム。今後も年間40~50%で成長させる」と鼻息は荒い。ベイン・アンド・カンパニーの調査によると将来、高級ブランドのEC化率は2割に達するとの見方もある。今後のラグジュアリー・ブランドのコマース全般から「See now, Buy now(“すぐ買える”コレクション)」についてまで、ネヴェスCEOに今後のファッションビジネス全般の変化を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):立ち上げて8周年の「ファーフェッチ」だが、率直にこれまでのビジネス拡大についてどう思う?

ジョゼ・ネヴェスCEO(以下、ネヴェスCEO):月に向かうロケットのようなスピードと角度で拡大しているよ(笑)。ECが世界的に普及する中で、ラグジュアリーでグローバルなオンラインプラットフォームとして世界でも唯一無二の「ファーフェッチ」がその恩恵を受けている。

WWD:世界唯一のモデルという意味は?

ネヴェスCEO:僕らの強みは完全にグローバル化していること。9言語でサービスを提供。ラグジュアリー分野の品ぞろえに関しては圧倒的で、35ヵ国で、約170のデザイナーブランドと約500店舗のセレクトショップから仕入れ、1シーズンあたり約12万アイテムを取り扱っている。この品ぞろえのバリエーションとボリュームが世界中のVIP顧客をひきつけていて、約180ヵ国に出荷している。

WWD:返品無料や多通貨対応などサービスが充実している一方で、為替変動や景気変動などリスクも多いのでは?

ネヴェスCEO:それはむしろ逆だ。為替のリスクは、多くの通貨を扱うことでむしろ平準化されるし、ラグジュアリー・マーケットも多くの地域に販売していることでリスクが分散されている。

WWD:ビジネスのアウトラインは?

ネヴェスCEO:2016年度の売上高は、前年比6割増の約8億ドル(約824億円)になりそうだ。アクティブ会員は約100万人。売り上げの割合は米国が3分の1、アジア・パシフィックが25%、残りが欧州など。いま伸びているのはアジア。特に日本が伸びている。

WWD:日本が伸びている理由は?

ネヴェスCEO:日本には、もともと大きなラグジュアリー・マーケットがあったし、有力なブランドも多い。日本支社は単に販売だけでなく、ブランドのリサーチや仕入れ機能もある。日本人はとても洗練されていて、とてもディマンディング(笑)。ただ、評価が厳しいね。例えばアメリカでの評価が9点でも、日本は6点のこともある。その代わり、リピート率は高くロイヤルティが高い。今秋から、日本でも「ファーフェッチ」で購入した商品を提携先のショップで受け取れるサービス「クリック&コレクト」をスタートする。まずは「Hビューティ&ユース」「キャンディー/シスター」「アイデア バイ ソスウ」など5店舗で開始する。今後はさらに増えるだろう。

WWD:ラグジュアリー・ブランドの「See now, Buy now」の流れをどう見る?

ネヴェスCEO:「See now, Buy now」には、「ファーフェッチ」は完璧に対応できる。先日のNYコレクションでは、「クリーチャーズ・オブ・ザ・ウィンド(CREATURE OF THE WIND)」と組み、ショーをライブ配信して、その場で買える仕組みを提供した。次回のファッションウィークで、あるビッグブランドとのプロジェクトを水面下で進めている。

WWD:中長期的な課題は?

ネヴェスCEO:「ファーフェッチ」はあまりにも急成長し、グローバルに拡大してきた。そのため、“バリューを高め、成長を続ける”というマインドを、世界中のスタッフと共有し続けるのが課題だ。ECは、ラグジュアリー市場の中で今後も成長し続ける。「ファーフェッチ」も、年40~50%で拡大することを掲げている。

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