近鉄百貨店の2016年3~8月期は、売上高が前年同期比1.0%減の1312億円、営業利益が同5.1%増の9億200万円、純利益が同145.2%増の9億2600万円だった。百貨店事業は衣料品の売り上げ不振に加え、あべのハルカス近鉄本店や地方中核店で改装工事を実施した影響から、売上高は同2.7%減の1190億円、営業利益は同56.2%減の1億8900万円に落ち込んだ。利益を押し上げたのは子会社の2社。内装業の近創は、伊勢志摩地区のホテルの内装受注など、伊勢志摩サミット関係で大口改装工事の売上があった。水産加工物の卸業を行うジャパンフーズクリエイトの鮮魚販売も好調だったことが、増益に寄与した。
「百貨店事業は構造改革の最中なので、厳しい数字は覚悟していた。上期に投資した分を、下期に回収する」と髙松啓二・社長は振り返る。本店は、タワー館1階に「カルティエ」を導入したほか、食料品ゾーンのテコ入れが奏功。地方店は、改装によって集客力と収益性の高い大型店舗を相次いで導入している。奈良店では県内初の「東急ハンズ」を5階にオープンし、四日市店では「アンデルセン」と協業したベーカリーの新業態「ブロッドン」1号店を開いた。全店が売り上げを落とし、下期も前年同期比マイナスの目標を掲げるなど慎重姿勢だが、全館規模で改装した奈良店のみプラスの計画を見込む。「都心店はコト消費を喚起する企画、地方店は集客力のある大型専門店の誘致が急務。『東急ハンズ』や『ブロッドン』などフランチャイズ方式の運営店舗を増やしていく」と髙松社長。今期の連結業績予想は売上高が同1.4%減の2670億円、営業利益が同0.5%増の31億円、純利益が42.2%増の15億円を見込む。