女優で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のアンバサダーも務めるアリシア・ヴィキャンデルが、現在公開中の映画「ジェイソン・ボーン」のプロモーションで来日した。映画ではマット・デイモン演じる主人公のジェイソン・ボーンを追跡する、元天才ハッカーのCIAエージェント、ヘザー・リーを演じている。スウェーデン出身のアリシアは、2016年の第88回アカデミー賞で助演女優賞を獲得し、過去にアンジェリーナ・ジョリーが主演してヒットしたアクション映画のリメイク版「トゥームレイダー」(18年公開)の主役に抜擢されるなど、現在世界から注目を集めている。「ジェイソン・ボーン」劇中でのラフなスーツスタイルの理由、そして自身のファッションについて聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):人気の「ジェイソン・ボーン」シリーズに出演した感想は?
アリシア・ヴィキャンデル(以下、アリシア):すごく嬉しいことでした。シリーズ1作目の「ボーン・アイデンティティー」を見たのは、確かビデオテープだったと思います(笑)。それ以降の2作品も含め、DVDで繰り返し見ていました。このシリーズのすごいところは、みんなが何度も見返して、話題になり続けているところです。三部作として一度完結しましたが、ファンの口コミによって世間から忘れられることはありませんでした。主演のマット・デイモンとポール・グリーンダラス監督が再びタッグを組んで続編を制作すると聞いた時は、出演が決定する前から一人のファンとしてワクワクしました。多くのファンから愛され、大切にされているシリーズに出演ができて本当に光栄です。
WWD:役作りで苦労したところは?
アリシア:CIAエージェントという役柄上、技術的なセリフの言い回しに苦労しました。アクション映画なので、誇張したムードやテンションで伝えないといけないのに、セリフの意味を正確に理解していないと言い回しにパンチが効かず、説得力に欠けてしまいます。私はどうしてもその世界の人間ではないので、自分でも「ああ、セリフっぽいな」と思ってしまうこともありました。ただ今回は、監督がリアルさにこだわる性格だったのがラッキーでした。現場にその道のプロを呼び、その人がアドバイスをくれたり、励ましてくれたおかげで自信を持って演じ切ることができました。あとは素早いキータッチにも苦労しましたね(笑)。
WWD:衣装選びのこだわりは?
アリシア:スタジオやロケ先で行う最初の衣装合わせが、まず自分の役作りが試される瞬間です。監督との会話から役柄を模索し、家のリビングで1人イメージし続けたキャラクターを初めて視覚的に見ることができるので、衣装はとても重要だと思います。今回の衣装は、キメキメのスーツスタイルにならないことを意識しました。数年前まで「働く女性といえばスーツでしょ」というイメージでしたが、最近のデジタル、テクノロジー、サイバー系の会社で働く女性は、当たり前のように社内でスエットやパーカを身に付けています。ヘザーはCIAで働いていますが、元天才ハッカーというバックグラウンドを表現するためにラフな要素を取り入れて差を作っています。
WWD:特に注目のポイントは?
アリシア:私がリクエストしたヘアクリップです。私自身、帰宅して髪をヘアクリップでまとめると、“今、自分がどう見えているか”というより“今、自分が何をしているか”という意識に切り替わります。何を着て、どんなメイクで出かけるかということは一切気にせず、それよりも仕事が大切!と考えるのが今回演じたヘザーの特徴だと思ったので、それをヘアクリップ一つで表現しました。
WWD:自身のファッションはどのように選ぶか?
アリシア:プライベートのファッションは、着心地を重視しています。撮影が多く、去年11月から自宅を改装中なので、現在はスーツケース3つ分の寂しいワードローブで移動しながら生活しています。服のカラーはほとんどが黒、白、グレー。デニム、ブレザー、ニットが好きなので必ず入れていますね。日本のプレスツアーでは珍しく2、3日のオフがありますが、ショッピングは特に予定していません。それよりも日本の文化に触れること。そして、食べることに時間を使いたいです(笑)。