三越伊勢丹ホールディングスは、ジェイティービー(JTB)、日本通運、日本航空とインバウンド事業で提携する。JTB、日本通運の3社合弁でデジタルマーケティングの新会社Fun Japan Communications(ファン ジャパン コミュニケーションズ、以下FJC)を設立。同時にFJCと日本航空が業務提携を結んだ。小売り、旅行、物流、航空の国内大手が手を結び、主に東南アジアのインバウンド客を取り込む。
新会社FJCの出資比率はJTB50%、日本通運40%、三越伊勢丹10%。社長にはJTB出身の藤井大輔氏が就き、18日から営業を開始する。日本通運が運営してきたインバウンド向けメディア「ファン!ジャパン」をインバウンド事業のプラットフォームに発展させ、ここを拠点に日本の観光や製品の情報発信力と高める。
「ファン!ジャパン」はすでにインドネシア、タイ、マレーシアのASEAN3カ国でSNSファン数333万人を有し、日本紹介サイトではナンバーワンを誇る。毎日3本以上の日本紹介記事を配信するとともに、双方向のコミュニケーションによって利用者の属性や趣味・指向などのビッグデータを収集。17日に行われた会見でマジョリティとして新会社を主導するJTBの高橋広行・社長は「アジアの消費をいかに取り込むかは、日本の企業や自治体に共通の課題。だが、これまでは接点を持てないために、素晴らしいコンテンツを持て余してきた。アジアの個人旅行客と接点を持つFJCが日本の企業や自治体とインバウンド、アウトバウンドの架け橋になる」と設立趣旨を説明した。今後はフィリピンやベトナムなど展開国を広げ、2020年にはSNSファン数を1000万人に拡大する計画だ。
三越伊勢丹HDの大西洋・社長は「現状ではインバウンドのお客さまのニーズをつかみきれていない。日本人のお客さまと同じレベルのマーケティングができるようになれば、精度の高い品ぞろえでインバウンドのお客さまの期待にもっと応えることができるはず」と話した。FJCでの活動を通じて日本国内の店舗情報、マレーシアで今月27日に開業を控える「イセタン ザ ジャパンストア クアラルンプール」など海外店舗での日本製商品の販促、富裕層向けのオプショナルツアーの立ち上げなどにつなげる。