ファイブフォックスは、奈良時代の天平文様をモチーフにした服を発売した。東大寺正倉院の宝物の文様を理学博士の藤野千代さんがデータ化した柄を、糸や織りで表現した。ウィメンズの「アルチザン」「バジーレ28」「ベータ」、メンズの「アルチザン」、子ども服の「コムサ・フィユ」の計5ブランドで商品を展開。価格帯はニットが3万円台後半~4万円、ドレスが6万円前後、コートが9万~18万円など。19日から25日まで伊勢丹新宿店と日本橋三越本店に期間限定ストアもオープンする。コムサステージ銀座店のカフェコムサでは23日まで、天平文様をイメージしたケーキも提供している。
天平文様は獅子や草花など東西の文様が融合したデザインが特徴。ササン朝ペルシアや中国などからシルクロードを経て、約1300年前の奈良時代に仏教文化とともに渡来した。渡来当初は中国の文化を色濃く受けた文様だったが、やがて日本独自のデザインも生み出されるようになった。
高瀬清子アートディレクター兼副社長は、「西の文化が色濃く残った文様と当時の職人の技術に驚いた。ペルシア、中国、日本をミックスしたデザインを見て、世界は繋がっているんだなと感じた。同時に、美しいと言われるものは万国共通だとも思った」と話す。服に落とし込む際に留意したのは「立体感と質感を再現すること。ジャカードを使用することで立体感を出したり、織りでグラデーションを表現した。糸の色も、図柄の色そのままを使用するのではなく、服にしたときにどう見えるかを意識した」という。藤野さんは、「服になると聞いて嬉しかった。天平文様をより多くの人に知ってもらえる良い機会になる」と話した。