英国議会の議員は10月20日、フィリップ・グリーン(Philip Green)卿のナイト爵位剥奪に合意した。議会がテリーザ・メイ(Theresa May)首相に議案を提出し、爵位剥奪委員会が賛成すると、彼のナイト爵位は正式に剥奪される。
グリーン卿は2000年に赤字だったイギリスの大手百貨店チェーン「ブリティッシュ・ホーム・ストアーズ(BRITISH HOME STORES)」を買収し、立て直しを図った。しかし業績は悪化し、グリーン卿は2度の破産経験のある小売業未経験のドミニク・チャッペル(Dominic Chappell)率いるリテール アクイジッションズ リミテッド(RETAIL ACQUISITIONS LTD.)に1ポンド(約126円)で売却。イギリスの労働年金省などがまとめたレポートによると、グリーン卿は配当金を横領したり、退職給付金積み立て不足を5億7100万ポンド(約719億円)に膨れ上がらせた。これらの結果、約1万1000人が職を失い、2万人が年金の給付を待ち続けるなど混乱が広がっている。
ナイト爵位の剥奪は、有罪人や専門機関・行政機関から除名された人が対象になりうる。フィリップ卿はナイト爵位を2006年にトニー・ブレア(Tony Blair)前首相により授与された。
訳・北坂映梨