三越伊勢丹ホールディングスは10月27日、マレーシアのクアラルンプールに全館丸ごとクールジャパンを発信する初のコンセプトストア「イセタン ザ ジャパンストア クアラルンプール」を開業した。市内中心部のショッピングモール「LOT10」内で昨年夏まで営業していた店舗を全面改装したもの。設計デザインは、丹下都市建築設計の丹下憲孝氏とグラマラスの森田恭通氏が担当した。
同プロジェクトは、官民ファンドのクールジャパン機構と、三越伊勢丹グループの現地法人が2年前に共同で新会社を設立してスタートした。約6000万マレーシア・リンギット(約15億円)を投じた新店は6フロアで売場面積約1万1000平方メートル。初年度の入店客数は約140万人、売上げは1億2000万マレーシア・リンギット(約30億円)を目指す。
フロアは、日本食を提供する「ザ・マーケット」、ファッションやロボット技術など日本の多様性を表現する「ザ・ミュージアム」、日本のファッション文化を発信する「ザ・スタジオ」、ライフスタイルを提案する「ザ・ルーム」、ワークショップなどで日本文化を体験できる「ザ・キューブ」、レストラン街「ザ・テーブル」(来年1月開業予定)で構成した。全館で820ブランドを取り扱い、そのうち500近いブランドがマレーシア初進出だ。
「従来の百貨店と大きく異なるのは、顧客像を想定して売り場を作るマーケットイン型からプロダクトアウト型へと変わったこと。アイテム別の商品分類で売場を編集する時代ではなくなった」と三越伊勢丹ホールディングス海外事業本部海外MD部の中川一部長。
今後の目標について、同店の古家麻弥店長は「百貨店時代には取り込めていなかった感度の高い若者や若い富裕層を新たに獲得したい。プレオープンではいい感触をつかむことができた。マレーシアにとどまらず、アセアン、ムスリム圏も視野に入れている」と意欲を見せる。中川部長も「同店を機に、単独ではむずかしかった小規模企業の海外進出が増えるかもしれない。インバウンドの海外でのゲートウェイにもつながるはず」と期待する。
※1マレーシア・リンギット=25円
(フリーライター 橋長初代)
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