ワコールホールディングスの2016年4~9月期の連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比3.1%減の 1024億円、営業利益が同18.5%減の78億円だった。国内外の販売は苦戦したものの、旧ワコール名古屋支店の土地の売却益約37億円を計上したため、純利益は同23.0%増の92億円に好転した。
ワコールの国内事業は、売上高が同1.5%減の616億円。営業利益は退職給付費用や税制改正に伴う外形標準課税の増加、新京都ビルの営業開始による費用の増加が重なり、同21.1%減の47億円になった。ブランド事業部では、「ワコール」の新機能ブラジャーや「ウィング」春夏商品がヒットし、主力であるブラジャーの売り上げをけん引したが、高級ブランド商品の売り上げの落ち込みや店頭在庫の調整が影響し、前年同期を下回った。小売り事業部では、直営店「アンフィ」は既存店の客数が減少したが個店販促客で単価が約6%アップ(7~9月期)したことなどが要因で前年同期を上回った。一方、通信販売事業部は、ウェブストアは新サービスやECサイトの機能拡張により客数を拡大するも、カタログ販売が苦戦し、前年同期を下回った。
ワコールの海外事業は、為替の影響を受けて売上高が同7.4%減の257億円、営業利益が同26.9%減の23億円と厳しい結果になった。アメリカとヨーロッパの売り上げは現地通貨ベースでは前年同期を上回っている。中国では、百貨店でも他社ECサイトでも苦戦を強いられている他、38店を展開するする中間層向けブランド「ラ・ロッサベル」の新規出店の凍結や不採算店舗の閉店を行ったことで売り上げが減少。営業利益も減収と粗利益率の低下に加え、人件費の増加により前年同期を大きく下回る結果になった。
4~9月期の実績と為替の動向などを踏まえ、5月9日に発表した17年3月期の連結業績予想を修正した。修正後は売上高が1980億円(修正前は2030億円)、営業利益が105億円(同100億円)、純利益が110億円(同100億円)と予想する。販売は引き続き厳しい状況が続くが、円高による生産コスト削減で粗利益率の改善を見込む。