「ケンゾー」のクリエイティブ・ディレクターのキャロル・リムとウンベルト・レオンは新宿店で、当選者がショッピングする様子を見守った。「純粋に買い物を楽しんでくれている姿を見て、とても興奮している」とキャロル。「実際に人々が街中で着ているところを想像するとワクワクするね」とウンベルト。
さらに、「高田賢三さんが1969年にパリでファッション界に革命を起こしたストーリーを人々に伝えることが、キャロルと僕が6年前に『ケンゾー』に就任した時のミッションだった。高田さんと『ケンゾー』が生まれた日本で発売を迎えられ、そのストーリーをたたえられたのは素晴らしいことだ」とウンベルト。
今、ファッション業界には“ユース”のアティチュードやスピリット、“ストリート・ラグジュアリー”のニーズ、そして、ファッションをもう一度パワフルでファン(楽しい)なものとして伝えようというムードが高まっている。特にキャロルとウンベルトは、歴史的なブランドを刷新したパイオニア的存在であり、ある意味、ファッションの流れを変えたキーパーソンでもある。本人たちはそのことをどう感じているのか?
「気付いてくれてありがとう!6年前にブランドをスタートした時には、多くのブランドがそういった取り組みはしていなかったから、批判を受けたこともある。今はその流れが広がっているね」とウンベルト。キャロルは「『ケンゾー』のスピリットはまさにその通り。高田さんは日本からパリまで旅をして、クリエイティブシーンに新しさを吹き込んだ。私たちもそういう存在でありたいと思ってきたから」と続ける。
一連のコラボについて、何百もの質問を受けてきた2人だが、一番お気に入りの質問は「『ケンゾー』と『ケンゾー×H&M』の違いは何か?というもの。このコラボは本当に本当に特別なもので、ブランドのヘリテージと、2人で成し遂げてきたことを伝えられた」とウンベルト。
2人の一番のお気に入りは「ショート丈のリボンドレスね。テクニックはもちろんだけれども、『ケンゾー』のアーカイブを再現したロングドレスを新たに短くすることで、スペシャル感もありつつ、日常使いできるものになっているから。ビンテージをモチーフにした一例になっている」とキャロル。ウンベルトは「キモノジャケットだ。新しいものと古いものの完璧なバランスで、タイムレスなアイテムだ。日本だけでなく、グローバルで受け入れられると思う」と話す。
最後に、日本で気になっているものについて尋ねると、ウンベルトは「いろいろな地域で作られたお皿などの陶器」、キャロルは「『ウチノ』のタオルやパジャマが大好き!コーヒーやお茶に使う『ハリオ』もとても薄いガラスで作られていて気に入っている」という。そして「このインタビューが終わったら、買い物に行くわ。まずは伊勢丹ね」とニッコリ。
では、実際に事前抽選に当選し、「ケンゾー×H&M」を買った幸運な人々を直撃してみた。
古着屋の副店長という24歳の男性は、「昨年も当選で当たって、原宿店の一番前で入ることができたけど、後ろは中国人の集団、その後ろは30人ぐらいのホームレスで。ラックごと持っていかれてしまったし、選べないし、人にまみれて大変だった。今回は事前抽選制だったので、落ち着いて一つひとつ選べたし、サイズも選べたし、クオリティーもチェックできたし、店員さんも丁寧に対応してくれたし、マイサイズが買えたから良かった」と高評価。ちなみに、今日はストリートブランド寄りのスタイルで来店。「普段から『ケンゾー』もコーデの中に一点だけ入れたりして時々着ている。購入したのは、リバーシブルのMA-1とリュック、ボンディングのパーカ、シンプルなスエットを自分用に、プレゼント用にウィメンズのスカーフとトートバッグを買って10万円で収まった」。