三越伊勢丹ホールディングスは、地方・郊外店の構造改革に本腰を入れる。営業利益が3年連続で赤字などの評価基準を設けるとともに、将来性を鑑み、業態転換や面積縮小といった抜本的な措置を2017~18年度に実行する。同社では地方・郊外店の収益悪化を都心基幹店でカバーしてきた。だが、都心基幹店さえも販売不振に陥り、支える余力がなくなり、2016年4~9月期は百貨店事業が営業赤字に陥った。地方・郊外店の改革が待ったなしになっている。
8日に行われた4~9月期の決算会見で大西洋・社長が「この2年間で覚悟を決めて実行する」と語り、強い決意を示した。強みである伊勢丹新宿店、三越日本橋本店、三越銀座店の都心基幹店を再強化する一方で、地方・郊外店は百貨店業態にこだわらない事業構造改革に舵を切る。具体的には5月に発表した「自主百貨店コンテンツ」と「テナントコンテンツ」を7対3程度で構成するMDを実行に移す。地方・郊外店は売り場面積1~2万平方メートル前後の店舗が多いが、エリア特性に応じて3000~1万平方メートルに縮小する。17年秋から順次、刷新する。
構造改革の対象になるのは、営業利益が3年連続赤字、前年度が債務超過、今後5年間のフリーキャッシュフローがマイナス10億円以上の見通しの店舗。具体的には現在、伊勢丹松戸店、伊勢丹府中店、三越広島店、三越松山店が俎上に上がっている。同社ではすでに来年3月に三越千葉店と三越多摩センター店を閉鎖することを発表しているが、再生の見通しが立たない場合は営業終了も選択肢に入れる。
同社の4~9月期業績は、売上高が前年同期比5.2%減の5821億円、営業利益が同57.9%減の61億円だった。商品別売上高では衣料品が7%減、特選宝飾が10%減と足を引っ張った。インバウンドの客単価減少や中間層の買い控えなど他社にも共通する傾向に加え、割引制だったエムアイカードを4月からポイント制に変更したことで、20~30代顧客やファッション志向の婦人服顧客の購買が減ったと見る。
不振を受けて同社では中期経営計画で掲げてきた「18年度に営業利益500億円」の達成を20年度に後ろ倒しにすることも併せて発表した。