今回4回目を迎えるメルセデス・ファッション・ウイーク・トビリシはオーガナイズがすばらしくて驚きました。インターナショナルのバイヤーやプレスを50人程度招待していて、アジアからは私のみ。媒体は、ウクライナ&トルコ「エル」、伊「マリクレール」「フォーブス」、そして「id」「Wマガジン」「VOGUE.COM」といった有力媒体のフリーランスエディターまで。バイヤーは、リナシェンテ、レーンクロフォード、バーグドルフグッドマンといった大手から、ロシアのKM20、ルクセンブルグのスメッツといった注目のコンセプトストアまで幅広い。ストリートスナップやショーをスナップするフォトグラファーも「VOGUE.COM」「WWD」「ニューヨークタイムズ」など多くの媒体に関わる人々がやってきました。
空港に到着するとスタッフが迎えてくれ、ホテルまで連れて行ってくれます。ホテルでファッション・ウイークのプログラムと参加ブランドを紹介したオフィシャルブックを渡され、基本、プログラムに沿って行動します。ランチからディナーまで組み込まれ、ショーはだいたい13時にスタートして、ラストショーは21時。1日8〜9ブランドが発表します。乗り合いバスのような専用バスがあり、それに乗り込み回ります。公式会場は、夕方以降が美術館のMOMAトビリシで、移動はほぼなく、ショー会場にショールームが併設されていて、いくつかのブランドの一部サンプルを見ることができます。さらに、ルックブックやホールセールの価格表(ドルor ユーロ建て)、セールス担当者の名刺などが置かれているので、初めて訪れる人にとって親切な印象でした。ルックブックや価格表、プレスリリースのフォーマットは基本的にルールがあり、おそらく用意しなさいと言われているのでしょう、オシャレ感はないですが、すぐに情報がゲットできるうえ、わかりやすかったです。もちろん、独自の“色”を出したいブランドは各々作成できます。ぜひ、東コレでもバイヤーやプレスに向けてこのシステムを導入してはいかがでしょうか?
ジョージア料理ってどんな味?
ショーのほかに午前中は、旧市街散策やジョージアの伝統的ダンス団のリハーサル見学といったジョージア文化に触れるプログラムやちょっとしたトークイベントがあります。常にスタッフがホテルと会場にいてアテンドしてくれるので助かりました。
ディナーは、もちろん毎日ジョージアン料理。以前、デムナとデュオで「ステレオタイプス」を発表していた旧ソ連・クリミア出身のヘレナ・ルメルスキーがインタビューで、「デムナは料理上手で、よくジョージアン料理を作ってくれたの。食べたことない味なんだけど、すごくおいしいわよ」と教えてくれたのですが、確かに食べたことない味!とにかく複雑。多彩なスパイス、コリアンダー、ニンニクをベースに、それらがさまざまに味付けされています。サラダとジョージアンチーズに始まり、ピザのようなパンが出てきて、メーンはお魚とお肉。大皿ででてきてみんなでつつく感じです。お酒はワイン。ジョージア発祥説があるくらいで、ウエイターは、とにかくダバダバ注ぐし、みんなよく飲みます。ジョージアンチーズも種類豊富で、食も独自に発展したようです。そして食事がとにかく長い。最低2時間、4時間の日もありました。オフィシャルディナーなのに22時スタートで終わったのがおおよそ2時。これには驚きました。その後に、アフターパーティーも用意していて、完全に超夜型ファッション・ウイークです。
ファッションは、ポテンシャルはかなり高い。けれど、まだまだ発展途上という印象でした。刺しゅうやハンドニットなど手仕事系が優れているブランドが多く、物価が安いためか、凝った作りの割に、価格がお手頃という点が、ジョージアファッションの一つの武器になっていくのかなと感じました。トレンドコンシャスな若手デザイナーも多く、デムナのクリエイションを想起させるものも。
【関連記事】
デムナ・ヴァザリアの故郷・旧グルジアはどんなところ?
【グルジア連載】「良かったブランド編」に続く。「WWDジャパン」12月5日号は東欧・ロシア特集を予定しています。