「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の日本総代理店であるドームは、筑波大学と5年間の包括的パートナーシップ契約を締結した。契約期間は2016年4月から5年間。ドームが本格的に開始した"アカデミック・インフラストラクチャープロジェクト(AIP)"を実施し、大学スポーツの産業化を目指す。同社はこれまで関東学院(大学、高校、中学校、こども園)、延岡学園高等学校、開志国際高等学校と同様の提携を行っているが、国立大学との契約は初となる。
また筑波大学は米・アンダーアーマーと提携するテンプル大学の協力を得て、大学スポーツ産業化に向けた共同研究を行い、来年を目処に全運動部の健康、法的、財務リスクを管理・統治する体育局の設立を目指す。
AIPは、大学スポーツを産業化し、その収益を施設、研究開発、教授の給与増額など、教育環境を高めるために投資することで、意欲の高い教授や学生を集めるなど、好循環を生み出すプロジェクト。まずは筑波大学のシンボルとしてスポーツエンブレムを策定し、そのエンブレムを使用したTシャツやポロシャツなどのライセンス商品を大学内で販売する。またラグビー部、公式野球部、女子ハンドボール部などの8チームを、“つくばブルー”カラーで統一した「アンダーアーマー」製の新ユニホームに刷新する。
筑波大学の永田恭介・学長は「今回の提携でアカデミアと産業界が連携し、さまざまなイベントやプロジェクトを通じてスポーツの価値を社会に還元していきたい。筑波大学は国立の総合大学の中で唯一、スポーツや体育という学問、教育、研究分野を持っている。今後はトップアスリートの経験をいかに社会に生かしていくかや、アンチドーピング、障害者スポーツなども研究していきたい」と話す。
ドームの安田秀一・社長は、「日本の体育会はおかしな組織になってしまっている。坊主の懲罰があったり、試合に出られない4年生がレギュラーの1年生より威張っているような状態が、なぜか美化されている。かつては自分自身も典型的な体育会系の人間だった。しかしドームを立ち上げて約20年が経ち、アメリカの高校や大学の、学校全体をあげて応援し合う環境、NCAA(全米大学体育協会)の規定によって厳格に管理されている安全面などを見て、考え方が180度変わった。まずは体育会が任意団体から大学の正式な組織になること。そして体育局の設置を目指すことがこの契約の本質だ」と語った。
大学とスポーツメーカーは、2011年にミズノと関西大学、13年にアディダス ジャパンと青山学院大学、今年3月にアシックスと早稲田大学、4月にドームと関東学院大学がそれぞれ提携している。