トレーニングジム「ライザップ(RIZAP)」を運営するライザップは、アパレル事業に参入する。コンプレッション(30型)とフィットネス(20型)、ゴルフ(70型)の3カテゴリーで「ライザップ」ブランドのウエアを2017年春夏からスタートする。6万人の会員を抱える「ライザップ」ジムに加え、都心の大型商業施設に出店する計画だ。これまでグループでは積極的なM&Aで、補正下着のマルコや婦人服SPAの美鈴、EC専業アパレルの夢展望などを傘下に収めてきたが、本体で直接ウェアを手がけるのは初めて。なぜアパレルに参入するのか。瀬戸健ライザップグループ社長に直撃した。
WWDジャパン(以下、WWD):グループでは積極的にアパレルを傘下に収めている。なぜ本体でアパレルを直接手がけるのか?
瀬戸健ライザップグループ社長(以下、瀬戸):端的に言えば、「ライザップ」の目的は、“人間の身体を美しくすること”。そのためウェアは欠かせないということに尽きる。「ライザップ」では6万人のトレーニングデータを、単にトレーニング方法だけでなく、食事やトレーナーからのアドバイスの仕方まで、かなり細かい部分まで含め徹底的に解析し、痩せる身体メカニズムを科学的に解明してきた。身長や体重などを踏まえると、1ヵ月後にどのくらいやせるのか、すでに90%の確率で的中させるまでになった。グループにアパレルを抱えているが、ヘルスケアや身体美の追求という事業ドメインを拡張するためには、直接本体で、商品設計から手がけることに意味がある。
WWD:すでにスポーツアパレルも先行しているが、勝算は?
瀬戸:「ライザップ」がここまで成功したのは、パーソナルトレーニングの再定義に成功したからだ。パーソナルトレーニング自体は、古くから存在していたが、われわれは徹底的に科学的にそのメカニズムを解明することで、成功を勝ち得てきた。われわれはアパレルの参入の上で、機能性や品質を再定義したい。機能性ウエアといっても、実用品をやるつもりはなく、自分を磨いたり、飾ったりする“自己投資”のためのウェアだ。アパレル事業は、“身体を美しく見せるため”、あるいは、“美しくするため”の機能や品質を、再定義できるか、勝算の分かれ目になるだろう。
WWD:今後の展開は?
瀬戸:百貨店や大都市の大型商業施設などへの出店を考えているが、すでに多くの引き合いをいただいている。来春にはまずは期間限定店のような形で出店する。かつての「ライザップ」ジムと同じく、ゼロベースからの事業。最初から大風呂敷を広げるつもりはないが、現在同じく英会話などの新規事業をスタートしているが、それと同等、それ以上の手応えを感じている。自己投資という意味でファッションは「ライザップ」と親和性が高いし、妻がアパレル出身だったり、ファッション業界のエグゼクティブやモデルの方々が顧客だったりと、縁を感じている。アパレル業界に新風を吹き込みたい。
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