阿部理歩/フリッツ・ハンセン日本支社広報兼マーケティング PROFILE:1999年大学卒業後、みずほ証券(旧、興銀証券会社)でキャリアをスタート。UBS証券(旧、UBSウォーバーグ証券)を経て2004年、アルフレックス ジャパン入社。コントラクト営業部に配属。建築事務所やクライアント営業等を行う。07年フリッツ・ハンセン日本支社入社。約5年間、営業として小売市場の新規開拓などを行う。12年から広報兼マーケティングとして活躍 PHOTOS BY CHIE FUKAMI
デンマーク発インテリア・ブランド「フリッツ・ハンセン」の広報兼マーケティングを手掛ける阿部理歩さんは、大学では法律学科専攻、金融業界でキャリアをスタートし、インテリア業界へ転職した。今ではインテリア業界のキャリアは12年以上。フリッツ・ハンセンでも営業職を経て広報兼マーケティングのポジションに就き、ブランドの世界観をさまざまな取り組みを通じて発信している。阿部さんに未経験の業界に転職するチャレンジと成功の秘訣をはじめ、営業から広報兼マーケティングへのポジションの変化、また、日本企業と外資企業における働き方の違いなどについて聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):大学では法律を専攻されていたわけですが、なぜ、金融業界に入ろうと思ったのですか?また、日本企業から、外資企業に移った理由は?
阿部さん(以下、阿部):法律学科の場合は、弁護士や官僚になる場合が多いのですが、金融業界も選択範囲にあり、当時、金融ビッグバンが起きていたので興味を持ちました。証券会社に入社し、電力会社など特殊法人の海外資金調達のサポートや投資家とクライアントのマッチングなどを行うマーケターという仕事に就きました。外資に転職しようと思ったきっかけは、日本企業ではアシスタント的な仕事がメーンだったので、グローバルに第一線で働きたいと思ったからです。
WWD:金融業界の仕事の仕方はどのようなものでしたか?インテリア業界に転職しようと思ったきっかけは?
阿部:ロンドンやニューヨークの市場が動き始めるのが夜なので、日中営業活動した後は、24時間体制でプレゼンテーション用の資料を作っていたこともあります。仕事自体は楽しかったのですが、この仕事が自分に本当に合っているか考えた結果、体調を整える意味でも、一旦お休みしようと思いました。私自身、インテリアにこだわりのある両親のもとで育ち、建築にも興味があったので、友人からインテリア業界を勧められたのがきっかけです。今まで見たことのない世界を見たいという思いもありました。
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WWD:未経験の業界に転職するために何かしましたか?
阿部:まず、履歴書を見てもらうためにインテリアコーディネーターの資格を取りました。そして、いろいろなインテリア企業にアプローチしながら、出会ったのがアルフレックスです。
WWD:アルフレックスという会社と営業という職種を選んだ理由は?
阿部:インテリア業界における日本市場において、ブランディングがきちんとできている会社だと思ったからです。また、日本の生活をインテリアを通じて変えていきたいという保科正・前社長の思いに共感を持ちました。インテリア業界での経験がなかったので、『何でもします!』という気持ちでしたが、コントラクトの営業部に配属になりました。プロ意識の高い同僚に温かく受け入れてもらい、クレーム対応をはじめ、さまざまな状況で学ぶことがたくさんありました。いろいろなプロジェクトがありましたが、顧客との距離が近く、思い出深いものばかりです。努力や勉強がクライアントの信頼につながると実感しました。
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WWD:金融業界とインテリア業界の違いは?業界が変わって働き方は変わりましたか?
阿部:ある意味、金融業界はリスク管理の世界なので、とても厳しい業界です。一方、インテリア業界は、自分の存在感をもっと感じられ、私に合っていると思いました。ただ、働く業界に関しては、人によって、合う、合わないがあると思うので、一概には言えないと思います。働き方に関しては、さほど変わらない気がします。自分のエネルギーを注ぐ方向が、金融からインテリアに移り、居心地がよくなったという感じですね。
WWD:金融業界における経験で最も役に立っている事は?インテリア業界に移って、一番苦労した点は?
阿部:金融業界で築いたネットワークに助けられることが多々あります。実際、顧客になってくれる人もいますし、いろいろと紹介してもらうことも。苦労したのは、ゼロからのスタートだったことです。初心者がプロを相手に営業しなければならないわけですから。売り上げにつながらず、生みの苦しみを味わった時期もあります。
WWD:日本企業のアルフレックスから外資のフリッツ・ハンセンに転職した理由は?また業務内容は?
阿部:もともと建築に興味がありましたし、グローバルなブランディングをしているメーカーで働きたいという思いがありました。転職コンサルタントからフリッツ・ハンセンを紹介され、建築との関係が深い“すごい”ブランドと思い、転職を決めました。日本支社立ち上げる約1.5年前で、日本国内の小売市場拡大やマーケティングのコンセプト作りなどを再構築するタイミングでした。入社して約5年間は、日本全国の新規取引先の開拓を行っていました。
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ブランドの世界観がゆったりと味わえるフリッツ・ハンセン青山本店
WWD:営業から広報兼マーケティングに変わった理由は?
阿部:前任の広報担当が退社したため、会社から広報兼マーケティングをやってみないかという提案がありました。一緒に育ってきた日本中のディーラーとの仕事はとても楽しく、正直、とても悩みました。転職のきっかけがグローバルなブランディングということもあり、ブランドを発信する役割も大切で楽しいかもと思い、引き受けました。「フリッツ・ハンセン」というブランドを、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っていたので。
WWD:日本企業と外資企業で働き方は変わりましたか?
阿部:フリッツ・ハンセンに転職後は、業務がほぼ100%英語になりました。そして、コミュニケーションは100%言葉ではないということを学びました。お互いの意思が通じ合えば物事は進みます。また、外資企業では自主性も大切です。本国のマーケティングプランがあると、それに対して自分からアクションを起こさなければなりません。自分の考えや行動に対する責任感を大きく感じるようになりましたね。ただ、間違えても、修正しながら進めていけばいいのです。自分の感覚を信じて早く動く、それが外資の仕事のやり方ですね。日本企業は準備ありき、外資企業はとにかくやってみようという感じでしょうか。
WWD:広報兼マーケティングの仕事のだいご味は?
阿部:責任感を持ちながら楽しく仕事をしています。ブランドを通じていろんな人とつながり、考え方や楽しみを共有できるのが働き甲斐につながっています。
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ある1日のスケジュール
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7:30 食事・家事
9:30 出社・メールのチェック ・デスクワーク
12:00 編集部とランチ
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16:00 本社マーケティングマネージャーとカンファレンスコール
18:00 本社マーケティング依頼事項のデスクワーク
19:00 退社
20:00 食事
22:00 本社マーケティングチームとミーティング
24:00 就寝