アメリカはサンクスギビング(11月24日)を終え、多くの家庭が年間の1/3に相当する買い物を楽しむとされるクリスマス商戦に突入した。業界筋は、自動車や自動車部品、ガス、オイル、それに外食などを除く11・12月の国内総売上を前年同期比4.1%増の6320億ドル(約70兆7800億円)と予想。24~27日のホリデーシーズン開幕戦の売上高も、前年同期比3%とまずまずの結果だったようだ。全米小売業協会が週末に実施したアンケートによると、この週末は昨年に比べ300万人多い1億5400万人が買い物を楽しむ予定と答え、予算の平均は前年同期比から10ドル強減少した289ドル19セント(約3万2300円)。うち3/4は、だれかに贈るギフト用だ。全体の74%がブラックフライデーに買い物すると回答し、続いて49%(複数回答可)が翌26日の土曜日に、さらに36%がサンクスギビングに、34%が27日の日曜日に買い物する予定だと答えていた。
消費者がスマートフォンで買い物を楽しむ傾向は年々顕著になっている。デジタルの世界でソリューションを提供する大企業アドビは25日、ブラックフライデーにおけるモバイル経由のeコマースでの売り上げが史上で初めて10億ドル(約1120億円)を突破したと発表。アマゾンも「ブラックフライデーはモバイルショッピングが最も盛り上がる1日。今年は、昨年のブラックフライデーはもちろん、昨年のサイバーマンデーの売り上げを超えた」と話す。ペイパルは、「サンクスギビングとブラックフライデーは両日とも、電子決済の1/3以上がモバイル端末経由だった」と続ける。モバイルショッピングは件数のみならず、支出額も増加傾向にある。オムニチャネルに関するコンサルティングを担うマネテート社は、モバイル決済の平均額は171ドル55セント(約1万9200円)に上ったと発表した。
多くの小売業者によると、今年の売れ筋は価格が20~25%下がったTVを筆頭とする家電製品。ウォルマートは日曜の深夜、65%オフの32インチLED型ハイビジョンTVなどの特価品を大公開した。ただ、アパレル業界はこの波に乗り切れないでいる。マスターカードのシニア・ヴァイス・プレジデントを務めるサラ・クイランは、「残念ながら、多くのアメリカ人は洋服を買わない」とコメント。とはいえニーマン・マーカスのケン・ダウニング=シニア・ヴァイス・プレジデント兼ファッション・ディレクターは、「秋冬の立ち上がりから好調だったベルベットが、今もブレイク中だ。ダラスの旗艦店は、予想以上。例年通りだと、我々の上顧客はバカンスに出かけてしまうのでサンクスギビングの週末はそれほど忙しくないのだが、今年は新客が多いように思う」と話す。