キャリアコラム
連載 私のシゴト力

セレクトショップから百貨店へ 求められるスキルはどう変わる?

 百貨店においてMD開発の仕事は、売り場の販売計画からイベント企画、ブランドとの商品開発まで、関わる領域が幅広い。顧客のニーズはもちろん、市場のトレンドや今注目のショップをキャッチする高いアンテナが必要になる。京都・四条通に面する百貨店、藤井大丸の玉川直樹MD開発本部主任は、セレクトショップの販売員からファッション業界のキャリアをスタート。現在は、MD開発の仕事にほぼ一人で携わっている。毎週必ず東京に出張して積極的に展示会やイベントを回り、情報を自らの足でつかみながら、京都ならではのイベント企画運営にも尽力している。「気になるコトがあったら、とにかく自分の目で確かめたい」と語る玉川主任にこれまでのキャリアや、現在の働き方について聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):現在のお仕事に就くまでのキャリアを教えてください。

玉川直樹MD開発本部主任(以下、玉川):大学4年生の時、大阪・堀江のジャーナルスタンダードで販売員として働き始めました。卒業後はそのままベイクルーズに入社し、藤井大丸2階にある京都店に配属され8年ほど働き、店長まで務め退社しました。その後少し他社で働き、翌年に藤井大丸からお声がけをいただいたんです。1・2階のセレクトショップフロアのマネジャーとして、売り上げ管理やお客さま対応などをしていました。4年ほど務めたあと、現在のMD開発部に異動しました。

WWD:現職では具体的にどんな仕事をしていますか?

玉川:藤井大丸は店舗が1店のみで、社員が120人ほどのコンパクトな百貨店ですので、仕事は何でもやっています。館に入っていただくテナントのリーシング(出店交渉・契約)から、特設スペースで催すイベントやポップアップショップの企画立案・運営まで、本当に何でも(笑)。食品やカフェ、コスメ、アパレルなど幅広いジャンルを扱うので、大変なこともたくさんあります。ですが、転職してショップの縛りがなくなったことで、視野を広げることができました。前任は、20年前に全国で初めてユナイテッドアローズを誘致した担当者でした。今となってはセレクト業態は多くの商業施設に出店していますが、セレクトショップが入ったファッションビルの先駆けとしての自負を持っています。「藤井大丸は百貨店ぽくない」とよく言われますが、それでいい。フランクで感度のあるファッションの館である軸をブラさないよう気を付けています。

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