不動産仲介業のアールストアは12月2日、“泊まれる本屋”をコンセプトにしたホステル「ブックアンドベッドトウキョウ」2号店を京都・祇園にオープンする。90㎡のフロア中央に巨大な本棚を置き、3200冊の本を蔵書。本棚の中に18部屋の寝室が潜み、隠れ家のような空間で好きなだけ本を読みながら滞在できる。同店では初めてビールを提供。京都の地ビールを中心に9種類をラインアップした。
1号店は昨年、池袋に出店。食事なしで共同トイレ・シャワー完備というシンプルなプランながら、斬新なコンセプトとデザインが話題を呼び、客室稼働率は100%をキープし続けている。グラフィックデザインは、アートディレクターの柴田ユウスケとタキ加奈子によるデザインスタジオSoda design、内装デザインは、谷尻誠と吉田愛が率いる建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEが担当。京都店の選書は地元の人気書店、恵文社一乗寺店がセレクトした。スナックやパブが入る祇園の雑居ビルの9階に位置し、南座や京都タワー、八坂神社といった名所が一望できる立地も魅力だ。
東京店の宿泊客は「本好きやマニアというわけではなく、コンビニで雑誌『ギンザ』や『ファッジ』を立ち読みするような人たち。ライトに読書を楽しむ顧客が多いので、選書は偏らずに写真集からマンガ、小説、哲学書まで幅広いジャンルをそろえている」と力丸聡・広報部長。宿泊客は20~30代が8割を占め、うち7割が女性客。利用するのは観光客や出張者だけでなく、3割が都内近郊の住民で「非日常を楽しむサードプレイスとして、地元の人たちにも利用してもらっている」という。京都店もまずは関西エリアへの訴求を強化する。「今の予約状況は京都からの客が5割、残りが滋賀や大阪など。まずは地元に根付かせて、地元の人にカッコいいと思ってもらえる場所にしたい」。
本棚の周りを囲むようにソファを敷き、コミュニケーションが生まれる場所作りにも配慮している。パジャマブランド「ノウハウ」と作ったオリジナルパジャマを販売し、毎月「8」の付く日(8日、18日、28日)は“パジャマの日”と題して宿泊客にレンタルサービスを行う。「女子会のパジャマ・パーティで利用されることも。本は一人で読むだけでなく、友達と一緒に読んでも楽しい。読書から広がるさまざまな体験を提供していきたい」。宿泊価格は4800円から。