ビジネス

相次ぐキュレーションサイト閉鎖で見えたネットの根深い課題

 メディア事業などを手掛けるDeNAは12月7日、一連のキュレーションサイト閉鎖騒動について記者会見を開いた。発端は医療・ヘルスケアを扱う同社キュレーションサイト「ウェルク」が根拠不明瞭な医療記事を掲載したとして、批判を受けたことによる。DeNAは7日までに子会社ペロリが運営するファッションサイト「メリー」を含む10メディアの全記事を非公開し、第三者調査委員会を設置して事実関係の調査に乗り出した。今後の対応について守安功DeNA最高経営責任者(CEO)「並行して社員プロジェクトは、チームを立ち上げ、全社的な課題・社内風土を調査する。 『ウェルク』ユーザーやコンテンツ作成者に対しては相談窓口を開設し、個別に対応していく」と説明した。同時期にはリクルートホールディングスの「ギャザリー」など大手企業のキュレーションサイトも記事の取り下げを実施しており、ネット業界全体が“情報の信頼性”を問われる事態となっている。

 DeNAは14年に「イエモ」を運営するiemoと「メリー」を運営するペロリを買収し、キュレーション事業を本格化した。主力だったゲーム事業が低迷する中、新たな収益軸として16年9月には単月黒字を達成し、10〜12月期には四半期ベースで初の黒字となる見通しだった。原因について守安CEOは、「1つは上場企業としての振る舞いとスタートアップ企業のような俊敏さのバランスがとれなかったこと。もう1つは、未経験だったメディア事業の中でライターへの配慮やコンテンツの質担保に対する認識が甘かったこと」と説明。コンテンツの権利と責任があいまいだというネットメディアの根深い課題が露呈した。上層部が認識していない編集部ごとの記事作成マニュアルが存在したり、校正フローがなかったりと、社内体制が非常に曖昧だったという。顔が見えないクラウドワーカーに6〜7割の記事制作を依頼していたことに加えて、現場でも原価を下げるためにライターへのコストを圧縮しており、記事の信ぴょう性について社内では把握できない現実があった。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。