中国本土からの富裕層観光客が激減している香港では、ファッションブランドの旗艦店閉店が相次いでいる。
先週「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」は約1800平方メートルの旗艦店を閉店。オープンからわずか2年の撤退となった。昨年は「コーチ(COACH)」が旗艦店を閉店。今後も「アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)」「フォーエバー21(FOREVER 21)」が後に続く。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「グッチ(GUCCI)」「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」などのラグジュアリー・ブランドは小さな香港に複数の店舗を構えており、店舗網の見直しを検討中の様子。コンサル企業OC&C ストラテジー(OC&C STRATEGY)のパスカル・マルタン(Pascal Martin)は「これらのブランドの多くは、母国よりも多くの店舗を香港に構えていた。しかし、『ルイ・ヴィトン』はシャンゼリゼ店、『バーバリー(BURBERRY)』はリージェント・ストリート店など原点回帰し、母国の旗艦店に力を入れ始めている」とコメント。
一部のブランドや小売店は、最近売り上げが戻りつつあるようだ。しかし、香港市場の本格復調については、関係者も疑問に思っている。OC&C ストラテジーは、香港での閉店ラッシュはさらに2年間続くと予測する。中国人にとって、海外ビザの取得が以前より簡単になった他、香港と中国本土の間の不和が原因で中国人が他国を訪れるようになっている。
相次ぐ閉店に伴い、家賃も下がる一方だ。CBRE香港の調べによると、ピーク時の2013〜14年のラッセル・ストリートの家賃は1平方フィート(約0.0929メートル)あたり月2000〜3000香港ドル(約28万〜34万円)だったのに対し、現在は800〜1000香港ドル(約9万〜14万円)という。これを受け、マスブランドがラグジュアリー・ブランドの跡地に出店を進めている。「アディダス(ADIDAS)」は「コーチ」の跡地に出店し、来年「GU」もオープンを控えている。