【PROFILE】1996年4月16日生まれ。2009年から雑誌「ニコラ」の専属モデルを務め、13年4月から「キャンキャン(CanCam)」専属モデルに。1月スタートのTBSドラマ「ホクサイと飯さえあれば」に出演する。
「キャンキャン(CanCam)」専属モデルで女優の池田エライザが活動の幅を広げている。20歳を迎えた4月には、自身初のスタイルブック「@elaiza_ikd」を発売。人気に火をつけたツイッターでの自撮りテクニックやクラウドファンディングによる雑誌出版でマルチな才能を見せてきた彼女は、本の中でもフィルムカメラの作品発表や初公開となる水彩画での装丁デザインを披露した。今年は歌唱やギター演奏のツイッター投稿、ショートフィルムの制作など、映画やドラマの撮影が続く中で表現活動に勤しんだ。2017年には出演映画「ReLIFE」「トリガール!」の公開やドラマ「ホクサイと飯さえあれば」が控える中で「いろいろな池田エライザを知ってほしい」と胸中を明かす。彼女が考える20歳のリアルな自分とは? その発言からは“黄金世代”と自慢する同世代への信頼も見えてきた。
WWDジャパン(以下、 WWD):4月に発売したスタイルブックで多彩な特技を披露した。
池田エライザ(以下、池田):普段からインスタグラムの写真はフィルムで撮っていて、撮りためた写真を作品としてまとめました。カメラはコンタックス(CONTAX)と、映画「メメント(Memento)」からの影響でインポッシブル(IMPOSSIBLE)のポラを使っています。水彩画も初披露しました。裏表紙やページ背景の水彩は全部私が書いています。私服ページのバック紙も自分に馴染む色を考えて、コーディネートにはこだわり抜きましたね。
WWD:モード撮影にも挑戦した。
池田:「MSGM」や「スレトシス(SRETSIS)」「タンジ モトヒロ(TANJI MOTOHIRO)」を着用したシューティングをメインに据えました。ファッションでは今、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデザイナーが次世代にシフトするなど、柔軟な変化が生まれていると感じます。そのお陰で若い世代にも自分の好きなブランドが見つかりやすくなっている。私の目標も、ハイブランドをユルく着こなせるように成長することです。ただモードは知れば知るほど、着るために生きざまが必要だと実感する。今は自分の中身が相応ではなく、気恥ずかしさを感じてビンテージに逃げてしまうこともあります。まだ揺らぐ部分がありますね。けれどそれは、魅力を知り尽くしていないということ。お芝居を仕事にしていると役を演じるので、似合わない服なんてないように思えてきます。それに「可愛い!」と衣装にときめくこともある。そういった出会いを重ねて、生きざまを磨いて、モードを自分に馴染ませていきたいです。
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WWD:「生きざま」への意識は女優業からの影響?
池田:そうですね。例えば、シックなスタイルは品がないと似合いませんよね? それと同じで、映像の世界で生きる女優は生きざまが大事だと思っています。目の移し方や間の取り方に顕著ですが、上品な役も普段ガサツだとバレるし、冷たい役も日頃母性が強かったら温かさがにじみ出る。最近感銘を受けたのは、8月のドラマ「ふろたき大将 故郷に帰る」で共演した俳優の石橋蓮司さんに激励をいただいたことです。舞台で生きてきた方は表現がライブだから、客席の反応次第でアドリブが求められる。それは自分の役柄を掘り下げていないとできないことですよね。そんな世界で生きてきた石橋さんに励ましてもらう機会があって……救われました。16年は年始からドラマや映画の撮影漬けの日々を送らせてもらい充実しています。それに、日々の「キャンキャン」の撮影ではトレンドや服の見せ方を学ばせてもらっています。伝統ある雑誌のノウハウはすごいし、コンサバは人間のベース、社会人のベースなのでとても勉強になります。
WWD:20歳を迎えて活動の幅が広がっている。
池田:そうやって池田エライザができあがってくる。雑誌を読んでいる人は「キャンキャン」のイメージだし、バラエティ番組を観た人は楽しいイメージかもしれない。フィルム作品を載せているインスタグラムの雰囲気が好きな人もいる。ひとつひとつ私が愛して表現しているものですべて自分自身だけど、もっといろいろな私を知って欲しい自我があって、歌も楽器もイラストも披露しました。
WWD:フィルムカメラのチョイスや私服にはレトロな嗜好が見受けられる。スタイルブックにも「くすんだ」「枯れ感」「スモーキー」「レトロ」「落ち感」「ビンテージ」というキーワードがあった。
池田:自分のしぐさや気持ち、温度感にいちばん無理なく寄り添ってくれる色ですね。今日の私服の「ラグ & ボーン(RAG & BONE)」もくすんだ赤が自分に馴染んで落ち着きます。レザーのバッグや革のメガネケースもそうですが、使い込んで育てていく感覚は好きです。色の好みも通じる部分があるのかも。ただ本当は、ラベンダーが好きな色なんです。でも自分には似合わないから家に飾って眺めています。
WWD:馴染む色と好きな色は違う?
池田:違います。そして、それでいいと思います。でも人として好きな色を問われたときに、理由を答えられないといけないと思っています。私ならラベンダーが好きな理由はこうです。幼い頃はピンクが好きだったけれど、ピンクが好きだというとぶりっ子に思われる。だからなかなか言えなくてラベンダーが好きと言うようになりました。気持ち的にはピンクなのですが、未だに言えずにいるからラベンダーが好き。それくらい自分を掘り下げておかなきゃダメだと思います。
WWD:それが本心?繊細さが伺える。
池田:小さい時はそうでしたね。ラベンダーも恥ずかしい時期があって。小学生の時におばあちゃんに「何色が好き?」と聞かれて思わず「水色」と言ってしまったんです。そうしたら水色の浴衣を買ってくれて……とても切なくて泣きました。繊細でないと女優業はできません。
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WWD:20歳はどう過ごしている?
池田:「書を捨てよ、町へ出よう」が20歳のテーマだったのですが……全然捨てきれずに読んでいますね(笑)。本とカルチャーが好きなのは生まれつきで、そのお陰で知識は増えました。でも知識が増えすぎちゃうと偏見を抱きがち。ある時、気づいたら「○○系」とカテゴライズしがちな自分に嫌気がさすことがありました。悟り世代で「大人っぽい」とか「頭いいね」と褒めてもらえてきたけど、「違う、頭が硬いんだ」と少し反省しました。20歳は物事を柔軟に受け止めたいです。私生活では、スタイルブックの発売記念も兼ねて「キャンキャン」編集部の方々に祝っていただきました。そこで赤ワインを嗜んで。白ワインだと進み過ぎてしまうきらいがあるので、色味もそうですし、赤ワインの方が合っている気がしますね。エライザお酒強い説が出ています(笑)。
WWD:同世代のことは意識するか?
池田:同世代は面白いですよ。女優業で言えば、今年は(玉城)ティナと映画「オオカミ少女と黒王子」で共演しましたし、その前のドラマ「JKは雪女」から続けて一緒に歩めてるなと思う。モデルもすごい人たちばかりです。だって三吉(彩花)は美しいし、松井(愛莉)は可愛いし。なによりみんな、内側にいろいろ考えを持っている賢い人たちだから。尊敬も嫉妬もあるけど、誇りに思っています……もう、世代交代ですよ。
WWD:世代交代とは?
池田:今26歳の柳楽(優弥)さんが映画「ディストラクション・ベイビーズ」の舞台挨拶で映画の万感の出来栄えに「世代交代です!」と宣言されたそうなんです。共演者の中には私と同世代の(小松)菜奈や(村上)虹郎もいた。私たち世代のふつふつと意見をたぎらせている表現者たちはきっと鼓舞されたと思う。もちろんまだ20歳ではあるけれど、Mappyちゃんのような10代のファッションアイコンもすでに出てきているわけで、若者ヅラをしている場合じゃない。前線に出て行く時を見据えて、貪欲に表現を磨いています。
WWD:同世代の中で自分の強みは?
池田:人間力だと思います。自分の好きなことに対しては誰よりも輝こうとできる。ファッション撮影でも、媒体によってスイッチを切り替えるのは得意です。モード撮影になると変貌しますよ。皆さんが私を知ってくれることはとても嬉しい。でも知ったきっかけやイメージひとつで池田エライザを決めつけて諦めないでほしい。そのために今、さまざまな舞台で人間を見せ続けています。