ウズベキスタン生まれで、韓国にルーツを持つジェニア・キムによるブランド「ジェイ キム(J.KIM)」が面白い。ウズベキスタンや韓国の民族衣装をインスピレーション源にしながら、意表を突いた組み合わせでモダンに表現している。2017年春夏は、「ウズベキスタンでの思い出の断片を集め現代的に解釈した」とジェニア・キム。カーニバル、生き生きとした人々、農場、綿花畑、民族衣装、伝統的な踊りなどウズベキスタンならではの文化に、ルーツである韓国の要素をドッキングした。韓国風のジャケットドレスや、ウズベキスタンの民族衣装パランジャのようなタッセル付きのクロップドトップスなどが並ぶ。凝った刺しゅうや装飾を施しているが、価格は卸ベースで60~270ユーロ(約7100~3万2000円)と手に取りやすいのも魅力だ。
WWDジャパン(以下、 WWD):ファッションに目覚めたのはいつ?
ジェニア・キム(以下、キム):英語が話せず、知り合いもいなかったけれど、撮影で訪れたニューヨークがきっかけ。ウズベキスタン人のメンタリティがベースにあるから、常に野心的なビジョンを持っているわ。
WWD:ブランドを設立したとき、ロシアのファッションシーンはどんな様子だった?
ジェニア:当時はファッション業界で何が起きていたのか、正直全く知らなかったの。でもモスクワのファッション業界には、誰もが憧れ、ハイファッションに身を包んでは、ハイソなライフスタイルを夢見ていた。活気に満ちていたわ。今は一段落して、落ち着きを取り戻したけれどね。
WWD:デザインコンセプトやフィロソフィーは?
ジェニア:韓国の民族衣装やウズベキスタンのカルチャーなど、ファッションピープルたちが、普段気に留めないようなことを伝えていきたい。ステレオタイプなウズベキスタン人のイメージを変えることが私の使命。今でも「ウズベキスタン人=教養がない、重労働しかできない」といった概念を持つモスクワ人が多いのよ。でも本当のウズベキスタンは美しさやエネルギー、思いやりに溢れた国。ウズベキスタンのカルチャーから生まれたコレクションを、世界中の人たちに着てもらえたら嬉しいわ。