柴田麻衣子クリエイティブ・ディレクター
デムナ・ヴァザリアやゴーシャ・ラブチンスキーの東欧・ロシアのブランドが注目を集めているが、日本で買い付けている店はまだまだ少ない。そんな中2017年春夏シーズン、多くの東欧・ロシアブランドを買い付けたのがリステアだ。柴田麻衣子クリエイティブ・ディレクターに東欧・ロシアの魅力とオススメブランドを聞いた。
“ストリート感があっても、オトナが着られるところが魅力”
「最近『どこのお店に行っても同じものしかない』と耳にすることが多く、違う国や違うことに目を向けないと思い、他店でも取り扱いが多いブランドから入れ替えようと新規を増やした。東欧やロシアのブランドは、ストリートの雰囲気がありながらオトナが着られるものが多く、たまたま多くなった。『やってやりたい感』があり、元気なブランドが多い。雑誌よりも、SNSやストリートの方がパワフルで、影響力のある人が着ると広がっていく感じも面白い。ヴィカ・ガジンスカヤやマグダ・ブトリムらべっぴんデザイナー本人が広告塔になっているケースも多く、フォトジェニックな洋服が豊富。ロシア勢を筆頭に高額なブランドが多かったが、近年はマーケットが成長してきたのかコンテンポラリーブランドも増えた」。
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「マグダ ブトリム(MAGDA BUTRYM)」(ポーランド・ワルシャワ)
「誰かのインスタグラムで誰かが着ていて、『何じゃこりゃ』と思いインスタを辿って見つけたブランド。ドレッシーだけどデニムやチノともコーディネイト可能で、カジュアルダウンできるラグジュアリーなところが良かった。デザイナー自身が作るビンテージ風のオリジナルプリント、気の抜けた感じ、デカダン風など今の気分を上手に表現している。遅刻しちゃいそうなほどたくさんのボタンなど過剰な装飾とのバランスも面白い。ポーランドの伝統的ステッチを用いていながらも、旬なデザインを提案している。セクシー要素が強いので、海外では爆発的に売れているというし、実際濃いめの赤いリップが似合いそうな女らしい点もポイント。シグニチャーのシルクのブラウスやドレスを中心に今シーズンから買い付けた。価格帯は、10万~20万円程度」。
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「ヴィカ ガジンスカヤ(VIKA GAZINSKAYA) 」(ロシア)
「ずっとチェックしていたが、高すぎて手が出なかった。好きなモノを好きな量だけ作っていたから、もう少し成長し、工場背景を見直し少しだけ価格が下がった14年春夏に満を持してスタート。自身で描くプリントの柄、独特の色使い、素材にマッチした色、トワルを組みながら生まれたようなデザイン、過剰なワッフルなど、芸術的でクチュールに近いドリーミーなデザインが魅力。店頭ではコートが好調。難点は、印象に残るドラマチックなデザインが多いので、少量しか入れられないこと。ドレスが18万円~」。
READ MORE 3 / 4 続いて「ユーズ アン ユーズド」
「ユーズ アン ユーズド(USE UNUSED)」(ハンガリー)
「ハンガリーの大手アパレルが手掛けるブランド。オリンピックユニフォームを手掛け、「オシャレすぎる」と話題になった。2万〜5万円程度と価格がこなれている上に、デザインされている点が魅力」。
READ MORE 4 / 4 続いて「ウォーク オブ シェイム」
「ウォーク オブ シェイム(WALK OF SHAME) 」(ロシア)
「オトナ過ぎずコドモ過ぎない引き算上手で17年プレ・スプリングから買い付けた。程よくストリート感があり絶妙にオシャレ。「SONY」のフォントで「sorry」と書いたTシャツなどウィットもある。ギャラリーラファイエットでイベントをするなど、ヨーロッパではグングン認知度がアップしている。トレンチ風ジャケットが5万9000円、ニットが3万4000円程度」。
【ルック】「ウォーク オブ シェイム」2017年プレ・スプリング・コレクション