スイス時計協会が発表した11月の時計輸出額は、前年同期比94.4%の約19億スイスフラン(約2166億円)だった。10月の前年同期比84%に比べると大幅に改善。特に中国本土への輸出が10月の前年同期比102.8%に続き、11月は同107.9%と回復基調に転じ、全体を押し上げた。香港も大幅に改善し、10月の同78.5%から11月は同99.3%と踏みとどまった。アナリストたちは、「月次は参考程度に過ぎないが、11月の結果は中国での時計ビジネスが転換期に差し掛かったことを表している」とコメントした。ただ時計ブランドは最近、過去に輸出した商品を引き取る代わりに新商品を輸出している。引き取った商品は輸出額に影響しないので、「時計業界はまだまだ厳しい」と分析する専門家も多い。
時計の主要マーケットでは、アジア圏への輸出が改善したのに対し、アメリカ、イタリア、ドイツなどの欧米市場はイギリスを除き一ケタ後半から2ケタの大幅マイナスに苦しんでいる。価格帯別では、500~3000スイスフラン(約5万7000~34万2000円)は微増したのに対し、それより低価格、高価格な商材の輸出は前年割れが続いている。