横浜美術館は1月4日~2月28日まで、篠山紀信展「写真力」を開催する。2012年の開幕以来全国25会場で75万人を動員した展覧会だ。
高さ3メートル、幅4.5メートルの大画面で見る輝く水面にまどろむ山口百恵や、高さ9メートルにわたって展開される後藤久美子のメルヘンの世界など、常識を超えたスケールの写真が展示される。また、横浜展のために新たに横浜出身の美空ひばりと、横浜・伊勢佐木町の路上ライブから出発したユニットゆずの写真が加わる。
美術館での写真展に疑問を抱いてきた篠山紀信にとって、この大きさが「写真力」を引き出す鍵になった。特大サイズの篠山写真を美術館で並べることで生まれる「写真力」と「空間力」は、開催地ごとに異なるインパクトを放ち、篠山自身も驚いているという。
本展は、ジョン・レノン、三島由紀夫、勝新太郎、美空ひばりらをとらえた「GOD 鬼籍に入られた人々」、山口百恵、吉永小百合、AKB48などを映した「STAR すべての人々に知られる有名人」、東京ディズニーランド、歌舞伎、草間彌生のインスタレーションなど現実の中にありながら日常を超えた世界「SPECTACLE 私たちを異次元に連れ出す夢の世界」、樋口可南子、宮沢りえ、舞踊家ウラジーミル・マラーホフ、大相撲など「BODY 裸の肉体―美とエロスの闘い」、東日本大震災50日後に被災地に入り撮影したという「ACCIDENTS 2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像」の5セクションで構成した。
長年、雑誌や写真集などの印刷媒体を通して読者に写真を届けてきた篠山紀信は、「時代が要求して時代が生んだスターを、その時代に返していく仕事をしてきた」と振り返っている。その意味で、この美術館での展覧会は彼にとって新たな挑戦になる。