左から福田晃一/リデル社長、広海/「スピリット」プロデューサー
インスタグラムやツイッターなどSNSを通じたマーケティングやコミュニケーションに注目が集まっている。情報発信力や影響力を持つ個人を“インフルエンサー”と呼ぶことも定着し、いかに彼女・彼らを活用するかが企業・ブランドの課題になっている。
そんな中、登録インフルエンサーを約1万8000人抱え、企業・ブランドとのマッチングを行う“インフルエンサープラットフォームサービス”「スピリット」では、利用企業数が400社を超え、ファッションやビューティ企業の利用も増加中だという。
運営するリデルは、芸能事務所兼マーケティング会社のツインプラネットが2014年10月に設立。今年11月にツインプラネット共同代表だった福田晃一・社長がMBOをする形で独立。「スピリット」プロデューサーに双子タレントの広海深海の広海を迎え入れるなど、体制を強化している。
READ MORE 1 / 1 「スピリット」の仕組み
「スピリット」の仕組みは、PRを図りたい案件について、発注者側が登録フォーマットに希望するインフルエンサーのタイプやフォロワー数、投稿内容、ギャラなどを入力することからスタート。募集案件を登録インフルエンサーが直接確認し、受けたいと思えば「意気込みコメント」付きで応募。その中からイメージに合うインフルエンサーを発注者が選定して業務を依頼するというものだ。目標拡散数に対して、10万フォロワーを3人か、3万フォロワーを10人、あるいは、5000フォロワーを60人かなどは自由に設定できる。案件終了後にはインフルエンサーの投稿内容をレポート化し、マーケティングツールとしてフィードバックする。
「スピリット」ではマイクロインフルエンサーと呼ばれる1000〜5万フォロワーを持つ女性登録者が主流のため、機動的でリードタイムの短い案件も実現可能だ。インフルエンサーには、エンタメ要素の強い案件をそろえる点が好評だという。注目ホテルの宿泊案件や人気キャラクターの展覧会などでは、高ギャラ案件より人気を博す。相場の3分の1近いコストで目標像のインフルエンサーの招集に成功することもある。既存のキャスティング会社に企業寄りのIT系が多いことに着眼し、インフルエンサー側に立ったマネジメント発想で施策を行う。福田社長は「今は企業運営のキュレーションメディアよりも個人メディアの方が強力になり得る時代だ。そして、中心にいるのは『人』であることを徹底したい」と語る。
広海の起用もその象徴だ。企業とのミーティングでは、広海がインフルエンサー代表の立場から意見を寄せる。「芸能やビューティ分野を中心に自身もインフルエンサーとして仕事を依頼されてきたが、従来のキャスティングにある不透明な部分にストレスを感じてきた。透明化はビジネス的にも双方有益なはず」と分析する。ハッシュタグでのPR表記の義務化もその一施策だ。「熱量の高さが『スピリット』のポイント。応募インフルエンサーが案件への意気込みを熱く書くから採用される。企業側もうれしい。インフルエンサーと企業の温度差がないから良い結果になる」と魅力を語る。
年内に利用企業数1000社を目指し、18年には1万社到達を目標に掲げる。インフルエンサーの育成にも注力していく。拡大するインフルエンサーマーケティングは、ファッションとビューティ市場活性化の起爆剤となるか!?