伊勢丹新宿店が3日に行った初売りには、開店前に昨年と同じ4千数百人が列を作った。予定より20分早い9時40分に開店すると、客は人気の福袋を目指して足早に売り場を目指した。多くの百貨店が2日を初売りとする中、三越伊勢丹ホールディングスは昨年から一部店舗を除き初売りを3日に移行。クリアランスセールも2012年から初売りとはずらし、1月中旬に後ろ倒ししてきた。それでもファッションを始めとした同店の品ぞろえを支持する顧客は多く、この日も老若男女でごった返した。
本館の行列の先頭にいた女性は、昨日の23時30分から並んだという。「6、7年連続で初売りに来ている。(埼玉県の)戸田に住んでいるが、経験上、始発に乗っても目当ての『アナ スイ』の福袋が売り切れてしまうので、今回は前日から並んだ」と話す。メンズ館に並んだ神奈川県在住の男性は「伊勢丹の初売りは正月の恒例行事。いま400番目くらいなので、目当てのデザイナーの福袋が確保できるか心配」と気をもんでいた。人気ブランドの福袋は開店数分で、他の福袋も1時間ほどでほぼ売り切れる売り場が目立った。
同社の初売りの後ろ倒しは、販売員の労働環境の改善の一環として打ち出された。初売りを視察した大西洋・社長は「初売りでのある程度の売り上げのロスは覚悟の上だ。長いタームで現場のモチベーションを上げて、お客さまの満足度を高めることの方が重要」と話した。
同社はいずれは正月の3が日を休みにしたい公言しているが、行列していた客からは「4日が初売りだと仕事始めと重なってしまう」との声が多数聞かれた。大西社長も「3が日を休みにするのがベストだが、お客さまの声も大切しなければならない」と検討課題にしている。