「フミカ_ウチダ(FUMIKA_UCHIDA)」は、東京・中目黒の人気ビンテージショップ、ジャンティーク(JANTIQUES)のバイヤーを経た内田文郁によるブランドだ。芸能人やスタイリストからの支持が高く、SNS上でも熱狂的なファンが多い。商品に出会えるのはビオトープやトゥモローランドなど約25店舗の卸先の入荷直後。どの店舗も商品は早々に店頭から消えていく。
きっかけは「ジャンティーク」オリジナルのデニム
WWDジャパン(以下、WWD):ブランド立ち上げた経緯は?
内田文郁「フミカ_ウチダ」デザイナー(以下、内田):ブランドを始める1年前まで、「一生、ビンテージの仕事をするだろう」と思っていました。きっかけはジャンティークでオリジナルデニムを作ったこと。店頭ではいていたら、お客さんが「欲しい」と言って購入してくださった。他人が作った一点モノを販売していたなかで、自分が作ったモノを買ってもらえることが素直にうれしかった。服飾学校に通ったこともなく、デザイナーになれるとは思っていなかったけれど、いろんな方に相談する中で背中を押してくださる方もいた。少しでも可能性があればと、知らない世界を見てみたいと好奇心がわきました。
WWD:立ち上げのための資金は?
内田:スポンサーになるというオファーもいただきましたが、できるだけ自分の力でできる範囲で、好きな服を作りたかった。女性の新規企業を推進する団体に書類を送り、融資をいただき、貯金もすべて使って始めました。好きな服は作れた。でも、商売の仕方がわからなかった。当初は展示会が何なのかさえ知らなかった(笑)。友人の協力を得て最初のコレクションを作り、知り合いの店にだけ、「一生懸命に作ったので見てください」と手紙を送りました。デビューシーズン、ビオトープなど15店舗で取引が決まりました。
WWD:服作りの出発点は?これまで触ってきた古着からインスピレーションを得るのですか?
内田:例えば、民族衣装は売り物としてではなく、自ら着ることを目的に作られているから、手が込んでいる。だから服としてとても美しいですが、私が目指す服作りではないんです。私は着たいと思ってくださる方に届くように、1点モノを作るのではなく、量産スタイルで作りたい。一方で、古着って思ってもみないようなことが起きていて、それを再現するのは大変なのですが、どうやったら今の時代にマッチするか、自分だったらどう着こなすかなどを考えながら作っています。なので、私の服作りは実験に近いです。また、いい素材で作られた服は何年たっても味があります。モノ作りはごまかしがきかないと古着から学びました。