2015-16年秋冬にデビューし、17年春夏にニューヨーク・ファッション・ウイークのオン・スケジュール入りした「クラウディア リー」。新作発表時点での日本での取り扱い店はゼロだったが、トレンドをけん引する提案で17年には、伊勢丹新宿本店とインターナショナルギャラリー ビームスでの販売が決まった。
「夜明けと夕暮れ」をテーマに、エンジやオレンジ、ブルーといった鮮やかなカラーパレットで描いた。「どの時間帯よりも、自由な気がするから」とデザイナーのクラウディア・リー。メンズクローズを作り換えたようなコレクションには「男性の服を盗んで着ている」という隠れテーマもある。メンズウエアを脱構築しながらウイメンズウエアに作り替えたようなデザインは、今春夏のビッグトレンドだ。マスキュリンなラインと、フェミニンなラインが交差した絶妙なバランスが面白い。クラウディア自身も「最近はラインが何よりも気になる。デザインは考えるのではなく、自然と生まれてくる」と話す。
元オペラ歌手で「いつも大きな声で歌っていた」母親と、アートディーラーの父を持つ。彼女自身もアーティストで、ペインティングを学んでいた。「ペインティングも服作りも、私にとっては自分のストーリーを語る手段。ただペインティングでは物足りない感じがしてきて。服はもっと身近に感じてもらえるでしょう?」。デビュー前は、ジョナサン・アンダーソンの下でデザイナーとして4シーズン働いた。パーソンズの卒業ショーを見たジョナサン本人から、連絡がきたのだそうだ。「彼のすごいところは、それぞれの得意分野を見つけて、やらせてくれること。私の場合はドレーピング。楽しかった」。それ以前は、レディー・ガガのスタイリストで、今はファッションデザイナーに転向したブランドン・マックスウェルの下でインターンも経験した。
生まれは中国。出身はニュージーランドとしているが、小学生の頃はシンガポール、ロンドンにも住み、そして現在はニューヨーク。発表の場にニューヨークを選んだのは「制限されていない感覚がすごく好きだから」。「クオリティーのコントロールができるから」と生産も全てニューヨークのガーメント・ディストリクト。小売価格は、シャツで約900ドル(約9万円)、コート約1500〜2000ドル(約15万〜20万円)など。買いやすい価格帯も意識し、ポロシャツやフーディー、スエットパンツは400 〜500ドル(約4万〜5万円)程度。「クリエイティブだけれど、ウエアラブルな服を作っていきたい。今のニューヨークには、それを受け入れてくれる土壌があると思うから」。